海の京都物語 第355話 福知山のあんじょうべっぴんな紫陽花どす 観音寺はんの百種一万株、石段のぼって見にきておくれやす|日本酒YUTAKA(豊)
海の京都物語、第355話は福知山市へお邪魔するんどす。前回までのお話では福知山城や由良川、御霊神社、三段池公園など、お城と水と歴史のまちをあちこち巡ってきましたなぁ。今日はちょっと目先を変えて、初夏に石段いっぱいが青やら紫やらに染まる、知る人ぞ知る古刹を訪ねてみよう思います。
その名も観音寺(かんのんじ)、地元では「丹波あじさい寺」の名ではんなりと親しまれとるお寺どす。福知山の市街地から舞鶴若狭自動車道でひとっ走り、のどかな山あいにひっそり建つこのお寺、実は京都府指定文化財も抱える由緒正しいお寺でもあるんどすえ。さっそく石段をのぼってまいりましょう。
🪷 千三百年の由緒、法道仙人開山の祈りの寺
観音寺の寺伝によりますと、始まりは奈良時代の養老4年(720年)。インド出身と伝わる伝説の僧・法道仙人さんが、この地に十一面千手千眼観世音菩薩さまを安置しはったのが起こりやそうどす。鎌倉時代には25もの坊を構える大寺院として栄えとったというから、えらい賑わいやったんやろなぁ。
せやけど天正4年(1576年)、丹波攻めを進める明智光秀はんの軍勢によって焼き討ちに遭い、堂宇の多くを失うてしもたそうどす。福知山のお寺はんにはこういう戦国の爪痕を背負わはったところが多おすなぁ。その後、天明4年(1784年)に本堂などが再建され、明治29年(1896年)には大聖院と多聞院が合併して、今の「補陀洛山観音寺」になったんやそうどす。
鎌倉時代の文書も含む「観音寺文書聖教類」2415点と、江戸時代建立の本堂は、どちらも京都府の指定文化財。関西花の寺二十五霊場の第一番札所にも数えられとって、花の季節だけやのうて、信仰のお寺としても大事にされてきたことがよう分かりますなぁ。
💠 百種一万株、「丹波あじさい寺」の名にふさわしい彩り
観音寺が「あじさい寺」と呼ばれる理由は、境内を埋め尽くす紫陽花の数にありますんや。その数なんと約100種、1万株。仁王門から本堂へと続く参道や「七観音の道」沿いにずらりと咲きそろう様子は、例年6月上旬から7月上旬にかけてが見頃どす。
境内では毎年6月末ごろに「あじさいまつり」も開かれ、だるまみくじや、花の形にかたどった「にぎり花仏さま」のおみくじなど、お花見だけやない楽しみも用意されとります。石段の両脇を青や紫、ピンクの紫陽花が埋め尽くす景色は、一度見たら忘れられん眺めやと思います。
紫陽花だけやのうて、2月の蝋梅、4月の桜や椿、5月末からのさつき、7月の桔梗、秋のふようと、一年を通して何かしらの花が迎えてくれるんも、花の寺ならではの魅力どす。
🪜 百八段の石段がいざなう、山あいの展望台
観音寺の境内から裏山へ目を向けると、108段の石段が続いとります。のぼりきった先、標高およそ80メートルの場所には「なげきの展望台」と名付けられた見晴らし台が設けられとって、かつて電力会社の鉄塔が建っとった跡地を活用して整備されたものやそうどす。
石段を一段一段のぼるたび、振り返れば紫陽花に彩られた境内と、丹波の山並みがだんだんと広がっていきます。木々が茂ると眺めが遮られることもあるそうやけど、お寺さんが枝を払うなどして手入れしてはるとのことどす。山あいの静けさと、少し息を切らしてのぼった先のご褒美の景色、これがまた格別なんどす。
📍行っ得メモ
・JR山陰本線石原駅から徒歩約15分、舞鶴若狭自動車道「福知山IC」から車で約5分
・JR福知山駅・綾部駅からバスで約15分、「観音寺」バス停から徒歩約10分
・紫陽花の見頃は例年6月上旬〜7月上旬、拝観時間や入山料は季節で変わるため公式サイトでの確認が安心どす
・問い合わせは観音寺(0773-27-1618)または福知山市観光協会(0773-22-2228)まで
千三百年前の祈りから、戦国の焼き討ち、そして今の百種一万株の紫陽花まで。観音寺を訪ねると、福知山いうまちが積み重ねてきた時間の分厚さを、花の彩り越しにふっと感じるんどす。石段をのぼりきった先の展望台から見る山並みも、どうぞ忘れんといてくださいね。
そないな紫陽花の古刹を訪ねた帰り道には、やっぱりYUTAKAを一杯いただきとうなります。ぬる燗にほんのり温めて、ガラスのぐい呑みに注げば、紫陽花の青紫を思わす涼しげな色合いがゆらめいて、ふくよかな米の旨みと、すっと伸びるキレが、石段をのぼった疲れをやさしゅう解きほぐしてくれますんや。
ほな、また次回のお楽しみに。
これからもどうぞよろしくお願いします。
FAQ
Q. 観音寺が「あじさい寺」と呼ばれる理由は?
A. 境内に約100種・1万株ともいわれる紫陽花が植えられており、仁王門から本堂への参道や七観音の道沿いを彩ることから「丹波あじさい寺」の愛称で親しまれとります。見頃は例年6月上旬から7月上旬ごろどす。
Q. 観音寺の創建はいつどすか?
A. 寺伝では奈良時代の養老4年(720年)、法道仙人が十一面千手千眼観世音菩薩を安置したのが始まりと伝わっとります。鎌倉時代には25の坊を構える大寺院でしたが、天正4年(1576年)の戦乱で多くの堂宇を焼失し、天明4年(1784年)に再建されました。
Q. 観音寺へのアクセス方法を教えてください。
A. JR山陰本線石原駅から徒歩約15分、舞鶴若狭自動車道の福知山ICから車で約5分どす。JR福知山駅・綾部駅からはバスで約15分、「観音寺」バス停から徒歩約10分ほどで到着しますので、お車でもバスでも訪ねやすい場所どすえ。
Q. 「なげきの展望台」とはどんな場所どすか?
A. 境内奥から続く108段の石段をのぼりきった、標高およそ80メートルの高台にある見晴らし台どす。かつて電力会社の鉄塔が建っていた跡地を整備したもので、丹波の山並みを見渡せる眺めが楽しめます。
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