海の京都物語 第138話 吉田の一本しだれ桜、うちを待っといてくれはったんどす|日本酒YUTAKA(豊)
先週は、すとろべりぃあいすいう甘い名前のバラが咲く庭のお話をさせてもろうたんどす。色とりどりの花が匂い立つ庭も見事どしたけど、今日はまたガラッと趣きの違う、静かで気高い一本桜のお話をさせてもらいますえ。
舞鶴の桜いうたら、与保呂川沿いにずらりと並ぶ千本桜や、共楽公園の賑やかなアロハ桜を思い浮かべるお人も多いんと違いますやろか。せやけど今日ご紹介する吉田の桜は、あの華やかな景色とはまた違う、たった一本で人を惹きつける風格を持った桜どすんえ。
舞鶴市の吉田地区、静かな山あいのお寺の境内に、その桜はひっそりと、けど堂々と枝を広げてはります。地元のお人らが大切に守り継いできはった、由緒正しい一本桜どす。
🌸公家を慰めた細川幽斎の桜
時は天正8年から慶長4年(1580~1599年)のこと。都から丹後へと流されてきはった公家・権中納言中院通勝卿が、この吉田の地で寂しい日々を過ごしてはったそうどす。
その通勝卿を慰めようと、歌の師匠でもあった細川幽斎が、京の吉田山からわざわざ桜の苗木を運んで、この地に植えてくれはったんどす。地名の「吉田」も、この桜の生まれ故郷である京都・吉田山にちなんで名付けられたと伝わっとります。
都を懐かしむ心を、一本の桜に託さはった幽斎はんの心遣い。そう思うて眺めると、この桜がなんや、ようけ優しい風情に見えてきますんえ。
🌳400年を生きる古木と若木
瑠璃寺の境内には、樹齢400年ともいわれる古木と、そこから受け継がれた若木が寄り添うように立ってはります。品種はシダレザクラで、古木の幹はどっしりと年輪を重ね、若木がその命をしっかり継いでいく姿が印象的どす。
平成16年には、桜の故郷である京都・吉田山の大元宮から穂木を分けてもろうて接ぎ木した三代目も、境内に植えられたそうどす。一本の桜が、時代を超えて命をつないでいく物語がここにはあるんどすえ。
この古木と若木が織りなす開花期の景観のすばらしさが認められて、昭和50年(1977年)には舞鶴市の天然記念物にも指定されてますんえ。
🏯地に着かんばかりに咲き誇る一本桜
瑠璃寺の境内、静かな石垣のかたわらに立つこの桜は、陽春の頃になると、枝もたわわに、地に着かんばかりに花を咲かせますんえ。まるで桜の滝が流れ落ちてくるような、そんな風情どす。
与保呂川の千本桜みたいな賑やかさはあらしまへんけど、たった一本でこれだけの存在感を放つ桜は、なかなかあらへんと思いますえ。静かなお寺の境内やからこそ、桜の気高さがいっそう際立つんどすなあ。
🌙夜にはライトアップも灯る桜
見頃は例年4月上旬から中旬にかけてどす。満開の時期にはライトアップも実施されて、昼間の可憐な姿とはまた違う、幻想的な夜桜を楽しむことができますんえ。
桜のシーズンには、境内近くに臨時の駐車場も開設されるそうどすさかい、遠方からお参りがてら訪ねやすうなってますんえ。
📍行っ得メモ
・住所:京都府舞鶴市字吉田170(瑠璃寺境内)
・見頃:例年4月上旬~中旬
・ライトアップ:満開時期に実施
・駐車場:桜シーズンのみ開設(普通車300円・バス2,000円、環境保全協力金)
・アクセス:JR西舞鶴駅から車で約15分/舞鶴若狭自動車道 舞鶴西ICから車で約20分
都から遠く離れたこの地で、望郷の想いを託されて植えられた一本の桜が、400年もの時を超えて今もなお美しい花を咲かせとる。そない思うと、なんや胸がじんわり温こうなりますんどすなあ。舞鶴に嫁いでからいろんな桜を見てきましたけど、この吉田の桜の静かな気高さは、格別どすえ。
こないな一本桜を眺めながらいただくんやったら、純米大吟醸YUTAKA(豊)は、ちょっと冷やして薄手のガラスの盃でどうぞ。キリッと澄んだ吟醸香が、桜の清らかな香りとよう合いますんえ。花冷えの中で口に含めば、すっと喉を通る上品な旨みが、桜の花びらが舞い散るような余韻を残してくれますんどす。静かな境内で味わう一献は、きっと忘れられん花見の時間になりますえ。
ほな、また次回のお楽しみに。
これからもどうぞよろしくお願いします。
FAQ
Q. 吉田のしだれ桜の樹齢はどれくらいどすか?
A. 境内の古木は樹齢400年ともいわれてますんえ。せやけどこの数字は伝承に基づくもので、資料によっては樹齢に幅があるようどす。若木は約100年、平成16年に接ぎ木された三代目も育っとりますんどす。
Q. 桜が植えられた由来を教えてほしいどす
A. 丹後へ流されてきはった公家・中院通勝卿を慰めようと、歌の師匠の細川幽斎が京の吉田山から桜の苗木を移し植えたんが始まりどす。地名の吉田も、この桜のふるさとにちなんで付けられたと伝わってますんえ。
Q. 見頃やライトアップの時期はいつどすか?
A. 例年4月上旬から中旬にかけてが見頃どす。満開の時期にはライトアップも行われて、昼間の可憐な姿とはまた違う、幻想的な夜桜を楽しんでもらえますんえ。桜のシーズンには臨時駐車場も開設されますんどす。
Q. 花見にはどんなお酒がよう合いますか?
A. 静かな一本桜を眺めながらやったら、純米大吟醸YUTAKA(豊)を少し冷やして、薄手のガラスの盃でいただくんがおすすめどす。澄んだ吟醸香と上品な旨みが、桜の清らかな景色によう馴染んで、忘れられん花見のひとときになりますえ。
京都 丹後