海の京都物語 第280話 大正七年から久美浜湾を見つめる熊野酒造どす、四代目杜氏が醸す「久美の浦」を訪ねてきましたんえ|日本酒YUTAKA(豊)
海の京都物語も、気いつけば第280話まで巡ってきましたなあ。丹後半島をぐるり、海も山も神さんも味も、えらいぎょうさん訪ねさせてもろてきましたんどす。今回も京丹後市にお邪魔して、久美浜町にひっそり息づく蔵元はんを訪ねてみますえ。
今日は舞台をまた京丹後市・久美浜町へ戻して、久美浜湾のほとりにひっそり立つ造り酒屋はんのお話をさせてもらいますえ。久美浜言うたら小天橋の白砂やかぶと山、かきや龍伝説なんぞもう何べんもお伝えしてきましたけど、実はこの湾の最奥の岸に、大正の世から酒を醸し続けてはる蔵があるんどす。
🏺大正七年生まれの蔵、熊野酒造どす
熊野酒造はんは大正七年(1918年)、久美浜町の湾奥に創業しはった蔵どす。もとは庄屋はんの柿本文八はんが柿本酒造場として興さはり、屋号は「亀屋」と名乗ってはったそうどす。
昭和十九年(1944年)の企業整備令で近隣の酒造会社がいくつもひとつにまとまって、今の熊野酒造有限会社になったんやて。昭和二十五年の全国清酒品評会では一等に選ばれはった記録も残っとります。
蔵の前にはほんまに久美浜湾がどーんと広がっとって、酒銘の「久美の浦」はその景色をそのままいただいた名前やそうどす。波の音と麹の匂いが混じり合う、ここだけの空気どすなあ。
🍶四代目が継ぐ、但馬杜氏の手仕事どすえ
今の蔵元杜氏は柿本達郎はん、四代目にあたらはって、熟練の但馬杜氏はんのもとで修業積んで平成二十六年度から杜氏を任されてはるんどす。
仕込み水はかつて金毘羅山の伏流水の硬水を使うてはったそうどすけど、今は純水を使うて地元のお米の旨みをまっすぐ引き出す醸し方に切り替えてはるんえ。
蔵人はんらと言葉を交わしながら櫂を入れる手元はほんまに繊細どす。飲み手の声にもちゃんと耳を傾けてはる、そんな人柄が一杯一杯に表れとる気ぃしますんえ。
🌾兵庫の山田錦と地元米、ふたつの顔どす
代表銘柄「久美の浦」は、兵庫県産の山田錦を低温でじっくり醸した純米大吟醸から、京都府産米を高う精米した純米吟醸まで、幅広う揃うてはります。
地元農家はんのコシヒカリを精米歩合六割まで磨いた純米吟醸「杜氏の独り言」は、久美浜の清らかな水とお米の旨みをそのまま感じられる一本やそうどす。
どのお酒も日本海の幸によう合うよう仕込まれてはるて聞くと、秋刀魚や甘海老、ちょこっと添えたなる肴まで、あれこれ思い浮かんでしまいますなあ。
🍂実りの秋と、蔵の支度どすなあ
十月に入ったこの時季、久美浜の田んぼでは新米の刈り入れがすすんどります。日本酒の蔵元はんは、新米が揃うてから冬に向けて仕込みに入らはるんが通例どすさかい、久美の浦もそろそろ支度どきかもしれませんなあ。
湾を渡る風にほんのり涼しさが混じって、蔵の甍にも稲穂色の夕陽が差し込む、そないな実りの季節どすなあ。
📍行っ得メモ
・アクセス:京都府京丹後市久美浜町45-1、久美浜湾の南岸どす
・営業時間:8:00〜17:00(定休日は日曜日・祝日どすえ)
・ひとこと:毎年5月頃の「tantan kura around in 海の京都」の時期には丹後丹波の蔵元はんが揃うて蔵開きしはるので、見学のええ機会どすえ
久美浜湾を鏡にして、大正から続く蔵の灯りがまだちゃんと点っとる、そないな景色を見せてもろて、うちもほっこりした気持ちになりましたんどす。丹後の水と米が生む一献は、何十年何百年経っても変わらん土地の恵みどすなあ。
久美の浦をいただいたあとは、うちらの純米大吟醸YUTAKAも常温よりちょっと涼しいくらいの温度で、ぐい呑みでキュッといきたいところどす。久美浜の潮風を思い浮かべながら含むと、米の甘みの奥にすっと透き通った後味が広がって、秋の夜長にちょうどよろしい一杯になりますんえ。
ほな、また次回のお楽しみに。
これからもどうぞよろしくお願いします。
FAQ
Q. 熊野酒造はんはどこにあるんどす?
A. 京都府京丹後市久美浜町45-1、久美浜湾の南岸最奥に蔵を構えてはります。大正七年(1918年)創業で、営業時間は8:00〜17:00、定休日は日曜日と祝日どす。蔵の目の前に久美浜湾が広がる、海の恵み豊かな土地どすえ。
Q. 「久美の浦」の名前の由来は?
A. 蔵のすぐ目の前に久美浜湾が一望できることから、その景色をそのまま酒銘にいただいて「久美の浦」と名付けられはったそうどす。兵庫県産山田錦の純米大吟醸から地元米の純米吟醸まで、幅広い味わいが揃うてますんえ。
Q. 熊野酒造はんの蔵見学はできますやろか?
A. 毎年5月頃に開かれる「tantan kura around in 海の京都」という丹後丹波の酒蔵合同イベントの時期には、蔵開きで見学できる機会がありますんどす。詳しい日程は熊野酒造はんや観光協会の案内で確認するのがよろしおすえ。
Q. YUTAKAと久美の浦、両方飲み比べたいんどすけど
A. どちらも丹後の水と米が育んだ一献どす。久美の浦で久美浜湾の景色を味わうたあとは、純米大吟醸YUTAKAを常温よりやや冷やし気味でぐい呑みに注いで、丹後の恵みの飲み比べを楽しんでみておくれやす。
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