海の京都物語 第317話 二~三メートルの雪にも負けん笹葺きの里、上世屋の棚田とチマキザサ屋根を訪ねてきましたんどすえ|日本酒YUTAKA(豊)
海の京都物語、第317話どす。これまで世屋高原いうたら、標高500メートルの世屋高原家族旅行村(第167話)や、棚田ごしに宮津湾を望む松尾の一本桜(第218話)をご紹介してきましたけど、今日はその世屋高原の奥、上世屋・下世屋地区にひっそり残る笹葺きの集落を訪ねてみようと思いますんえ。
宮津市の西部、丹後天橋立大江山国定公園の世屋高原地区に抱かれたこの里は、山また山の向こうにぽつんと灯りがともるような静かな集落どす。今日はその暮らしと手仕事を、じっくりたどってみますえ。
🏔️世屋高原、丹後の山あいに抱かれた二つの里
上世屋と下世屋は、京都府宮津市の西部、標高500メートルほどの世屋高原に点在する小さな集落どす。平成19年(2007年)8月3日に新規指定された丹後天橋立大江山国定公園の世屋高原地区に含まれ、スギやヒノキの植林と、コナラ・ミズナラなどの広葉樹林に囲まれてますんえ。
棚田と集落、そして薪炭林が一体となった里山の風景が今も残る、丹後半島でも指折りの農村景観どす。
🎋チマキザサで葺く、丹後だけの屋根
上世屋地区は京都府の景観資産登録地区第13号に選ばれてますんえ。山間に棚田が広がり、笹葺き屋根の民家がまとまって残る、全国でも珍しい集落どす。
屋根材に使われるんは、丹後半島に特有の「チマキザサ」いう笹。いわゆる茅葺きとは違う、山の恵みそのものを屋根にする知恵どすなあ。
ただ、笹葺きは吹き替えの手間がえらい大きいさかい、今では多くの民家がトタンで屋根を覆うてます。それでも軒先に残る笹の名残に、かつての暮らしがそっと息づいてますんえ。積雪二~三メートルにもなる豪雪地帯やさかい、屋根の重みに耐える工夫でもあったんどすなあ。
🌾棚田を守る、移住者とボランティアの手
令和5年(2023年)3月時点で、上世屋に暮らすのはわずか11世帯23人。そのうち7割を超えるかたが移住者どす。空き家を改修した「セヤハウス」を拠点に、暮らしの継承に取り組んではります。
放棄されかけた三十数枚の棚田は、宮津の飯尾醸造はんが借り受けて、農薬を使わんお米作りを続けてはります。毎年百名を超えるボランティアが汗を流さはるそうどすえ。
体験実習館の笹葺き屋根も、立命館大学の丹後村おこし開発チームの手で再生されましたんやで。都会の若い衆の手も借りながら、里山がゆっくり紡がれてますんえ。
🦋選ばれ続けた里山、受け継がれる手仕事
上世屋は平成16年(2004年)に「里地里山30選」、平成21年(2009年)には「日本の里100選」に選ばれ、棚田は「つなぐ棚田遺産」にも名を連ねてますんえ。
里山のブナ林や湿地、畦畔が良好に保たれ、ジョウビタキやハッチョウトンボの姿も確認されてます。自然のものさしで見ても、太鼓判の里どすなあ。
藤蔓から糸を績む藤織や、祇園祭で使うわら草履作りも、ここでは今なお受け継がれてます。NPO法人里山ネットワーク世屋はんが、都会の人や若い世代との交流を通して、この手仕事をつないではるんどすえ。
📍行っ得メモ
・上世屋・下世屋地区は、丹後天橋立大江山国定公園(平成19年8月3日指定)の世屋高原地区にある集落どす
・上世屋地区は京都府景観資産登録地区第13号、丹後特有の笹「チマキザサ」で葺いた笹葺き屋根の民家が今も残ります
・平成21年(2009年)「日本の里100選」に選定、棚田は「つなぐ棚田遺産」にも選ばれてます
・集落はほとんどが個人のお住まいどす、見学の際は静かにマナーを守っておくれやす
トタンの下にまだ笹の香りが眠ってるような上世屋の家並みを見てたら、ここで暮らしを繋いでこられたはったひとつひとつの手が、なんや愛おしゅう思えてきましたんどすえ。雪に耐え、手間を惜しまず屋根を葺き替えてきはった歳月の重みを、今日はしみじみ感じさせてもろたお話どした。
夜になって宿でよう冷えたYUTAKAを盃に注いだら、山の湧き水みたいにすうっと喉を通っていきましたんえ。笹の葉を思わせるほのかな青さと、棚田の米が育てたふくよかな甘みが舌の上でひとつに溶けて、豪雪を越えてきた里の静けさまでいっしょに味わうたような、そんな一献どした。
ほな、また次回のお楽しみに。
これからもどうぞよろしくお願いします。
FAQ
Q. 上世屋の屋根は茅葺きなんどすか
A. 正式には「茅葺き」やのうて、丹後半島特有の笹「チマキザサ」で葺く笹葺きどすんえ。山野に生えるチマキザサを使うのは全国でも珍しく、京都府の景観資産登録地区にも選ばれてます。今はトタン屋根に覆われた民家も多いんどすけど、軒先に笹葺きの名残が今も見られますんえ。
Q. 上世屋に今も人は住んではるんどすか
A. はい、令和5年(2023年)3月時点で11世帯23人が暮らしてはります。そのうち7割を超えるかたが移住者どすんえ。空き家を改修した「セヤハウス」を拠点に、里山の暮らしを次の世代へ繋ぐ取り組みが続けられてますんえ。
Q. 笹葺きの屋根はなんで珍しいんどす
A. 屋根材に、丹後半島に特有の「チマキザサ」いう笹を使うからどすんえ。一般的な茅葺きとは素材が違い、山野に生えるチマキザサをそのまま屋根に葺く手法は全国でも珍しいて言われてます。ただ吹き替えの手間がえらい大きいさかい、今はトタン屋根に姿を変えた民家も多いんどすえ。
Q. YUTAKAはどんな場面で楽しんだらええどすか
A. 世屋の棚田米のおむすびや、山の恵みを生かした素朴なお惣菜との相性がよろしおすえ。よう冷やしてすっきり味わうのはもちろん、ひんやりした山の夜にはぬる燗にしても、お米の甘みがふわっと広がってよろしおす。里山の静けさと一緒に、ゆっくり盃を傾けてみておくれやす。
京都 丹後