海の京都物語 第363話 黒木の鳥居くぐったら伊勢はんのふるさとに着くんどす|日本酒YUTAKA(豊)
海の京都物語、第363話は福知山市大江町へ参ります。これまで大江山の鬼伝説や由良川の恵みを巡ってきましたが、今回訪ねるんは、大江山の懐にひっそりと鎮まる古社、元伊勢三社どす。
元伊勢三社言うんは、元伊勢内宮皇大神社、天岩戸神社、元伊勢外宮豊受大神社の三社を合わせた呼び名どす。元伊勢と伝わる地は全国にありますけど、三社がこないに一つの谷筋に揃うて鎮座してはるんは、ここだけやそうどす。今日はその中心、皇大神社を中心にお参りしてきました。
⛩️元伊勢三社って、どんなとこ?
皇大神社の祭神は天照大御神どす。『倭姫命世記』には、崇神天皇39年に神宮が但波国へ遷り、吉佐宮で4年間奉斎されたと伝わりますが、これは紀元前59年にあたる計算で、歴史学的な裏付けのある話やのうて、あくまで伝承として伝わってきたもんどす。
豊受大神社の祭神は豊受大神で、伊勢神宮外宮の起源と伝わります。天岩戸神社は皇大神社の奥宮にあたる位置づけで、天照大御神が隠れはったという天岩戸の伝承地どす。三社とも、伊勢の神さんのふるさととして、古くから大切にされてきたんどすな。
🌲黒木の鳥居と神明造の本殿
皇大神社の入口に立つ鳥居は、樹皮の付いたままの丸太を使うた「黒木鳥居」で、全国的にも珍しいもんやそうどす。鳥居をくぐって石段を上ると、最古の神社建築様式とされる神明造の本殿が姿を現します。豊受大神社にも同じ黒木鳥居があって、社殿は装飾の少ない簡素なつくりどす。
約300段とも伝わる石段を一段ずつ上る間、杉木立に差し込む秋の光が揺れて、参道全体がしんと静まり返ってますのや。息が切れる頃にようやく本殿が見えてきたときの、ほっとする気持ちいうたらありません。
🌳麻呂子スギと龍灯のスギ
石段の途中には、樹齢約1400年と伝わる御神木「麻呂子スギ」が立ってます。本殿脇には「龍灯のスギ」という巨木もあり、どちらも長い年月を見守ってきた神木どす。境内からは禁足地とされる日室ヶ岳を望む遥拝所もあって、夏至の頃には太陽が山頂に沈むと言われてます。
太い幹に手を合わせてると、自分の悩み事がちっぽけに思えてくるから不思議どす。秋風に杉の葉が鳴る音だけが聞こえる境内は、時間の流れ方が違うような気ぃしました。
💧天岩戸神社と宮川渓谷
皇大神社から細い山道を下った先、天岩戸神社は宮川渓谷の谷底、岩壁に寄り添うように建つ懸造りの本殿どす。神々が座して神楽を舞わはったと伝わる神話の地で、岩戸山一帯は京都府の歴史的自然環境保全地域に指定されてます。社殿近くには「産がま・産だらい」と呼ばれる甌穴も残り、安産祈願のご利益があるとされてます。
本殿前へは鎖をつかんで岩を登らんとあかん場所もあって、ちょっとした行場参りの気分どす。渓谷のせせらぎと岩肌の冷たさに、神話の世界がぐっと近こう感じられましたわ。
📍行っ得メモ
・皇大神社・天岩戸神社へは京都丹後鉄道「大江山口内宮駅」から徒歩約15分どす
・豊受大神社へは福知山市営バス(大江山の家線)「外宮」下車徒歩約5分、または京都丹後鉄道「大江高校前駅」から徒歩約15分どす
・皇大神社の授与所は8時から16時までどす、石段や山道があるんで歩きやすい靴がおすすめどす
秋の澄んだ空気の中、黒木鳥居をくぐって杉木立を抜けると、二千年近く前にここに神さんがいてはったという話も、すんなり信じられる気がしてきますのや。伊勢に行く前に、まずは大江町の元伊勢三社にお参りするんも、ええ巡り方やと思いますえ。
お参りの後は、ひんやりした秋の夜にYUTAKAをちびりと一杯。冷やしたぐい呑みに注いで口に含むと、麻呂子スギの樹皮を思わす穏やかな香りと、米の旨みがすっと喉を通っていきますのや。杉の木立を抜けてきた静けさを、そのまま盃に移したような、澄んだ味わいどした。
ほな、また次回のお楽しみに。
これからもどうぞよろしくお願いします。
FAQ
Q. 元伊勢三社とはどんな神社どすか?
A. 元伊勢三社とは、福知山市大江町にある元伊勢内宮皇大神社、天岩戸神社、元伊勢外宮豊受大神社の三社の総称どす。伊勢神宮の天照大御神と豊受大神が今の伊勢へ遷る前に鎮まらはったと伝わる地で、三社がひとつの谷筋に揃うて残るんは全国でも珍しいとされてます。
Q. 黒木の鳥居とはどないなもんどすか?
A. 黒木の鳥居は、皮付きのままの丸太を組んだ鳥居のことで、皇大神社と豊受大神社の入口に立ってます。木材の皮を剥がずに使う鳥居は全国的にも珍しいとされ、古い時代の姿を今に伝える貴重なものとして紹介されてます。鳥居をくぐると神明造の本殿へ石段が続いてますのや。
Q. 天岩戸神社へのアクセスは?
A. 天岩戸神社へは、京都丹後鉄道「大江山口内宮駅」から皇大神社を経て山道を歩いて向かうルートが一般的どす。皇大神社から谷底へと細い道を下り、宮川渓谷沿いの岩壁に建つ懸造りの本殿に至ります。歩きやすい靴と、鎖場もあるんで動きやすい服装がおすすめどす。
Q. お参りにはどれくらい時間がかかりますか?
A. 皇大神社だけなら駅から往復1時間ほどどすが、天岩戸神社まで足を延ばすと山道の上り下りもあるんで、2時間前後みておくと安心どす。石段や鎖場があるんで、余裕を持ったスケジュールと、水分補給できる準備をしておくのがええと思いますえ。
京都 丹後