海の京都物語 第396話 宮津城跡の菊姫稲荷、哀しい皿屋敷の言い伝えどす|日本酒YUTAKA(豊)
第396話は宮津市鶴賀、江戸時代の宮津城下町にスポットを当てますえ。天橋立のすぐ東、宮津駅の裏手に広がるこのまちには、かつて細川藤孝が築いたお城がありましたんどす。
今もまちなかには石垣や土塁の跡がひっそり残っとって、歩いてみると城下町やった頃の面影がそこかしこに感じられますのや。今日はそんな宮津城跡と、そこに伝わる哀しい言い伝えをご紹介しますえ。
🏯宮津城跡のこと 宮津城は天正8年(1580年)、細川藤孝が宮津湾に注ぐ大手川の河口部に築いたお城どす。慶長5年(1600年)、関ヶ原の戦いを前に藤孝自らが城を焼き払うて田辺城(現在の舞鶴市)に籠城し、西軍の足止めに一役買うたと伝わっとります。その後丹後を治めた京極高知が晩年に宮津城へ入って大改修を進め、元和8年(1622年)に高知が亡くなったあとは藩主となった京極高広が城下の再整備を引き継ぎ、寛永2年(1625年)頃に近世城郭としての姿が完成したとされとりますのや。
明治の廃城で天守や御殿は失われてしもたけど、三の丸の正門にあたる「太鼓門」は今も宮津小学校の正門としてその姿をとどめ、大手川に架かる大手橋は明治19年に石橋として架け替えられたまま、まちの人の生活道として使われ続けとります。学校帰りの子どもらが太鼓門をくぐって通り過ぎる姿を見てたら、400年ほど前のお城の正門が、今もちゃんと「入口」として生きとるんやなぁと、しみじみ思いますのや。
🦊菊姫稲荷と丹州皿屋敷の言い伝え 宮津城の外堀にあたる波路口の枡形虎口、その石塁の一部やったとされる土壇に、今も「菊姫稲荷」という小さなお稲荷さんが祀られとります。ここには「丹州皿屋敷」の名で伝わる言い伝えが残っとって、播州(姫路)の皿屋敷と同じように、井戸やお皿にまつわる哀しいお菊さんの物語が、丹後のこの地にも語り継がれてきたんどす。ただし詳しい筋書きや年代については地域の言い伝えの域を出ず、史料での裏付けは要確認どす。
波路口のあたりは今では普通の住宅地になっとって、観光地のような賑わいはあらしまへん。せやけど小さな祠の前にそっと立つと、城下の片隅で語り継がれてきた物語の重みを感じますのや。石垣の石ひとつひとつが、言葉にならへん昔の記憶を抱えとるような、そんな静けさがありますえ。
🚶白壁の道を歩く 大手川沿いには「白壁の道」と呼ばれる散策路が整備されとって、かつての外堀の位置をたどりながら歩くことができますのや。川沿いの広場には、細川藤孝の息子・忠興に嫁いだ細川ガラシャ(玉)を記念する像も立っとって、宮津城とこのまちの歴史をあわせて感じられる一角になっとります。
夕暮れどき、大手川の水面に城下町の灯りが映り込む頃合いに白壁の道を歩くと、昼間とはまた違うたしっとりした空気に包まれますのや。川のせせらぎに耳を澄ませとったら、400年前の城下町のざわめきが、ふと重なって聞こえてくるような気ぃがしますえ。
📍行っ得メモ
・太鼓門は宮津小学校正門として現存、外観のみ見学可(校内立入不可)
・大手橋は明治19年架け替えの石橋、大手川沿いの生活道として今も現役
・白壁の道は大手川沿いの散策路、外堀跡をたどりながら歩ける
・菊姫稲荷(波路口)は住宅地内にあり、訪問の際は静かに配慮を
・JR宮津駅から徒歩圏内、天橋立観光とあわせて立ち寄りやすいエリアどす
お城そのものは姿を消してしもたけど、太鼓門や白壁の道、小さなお稲荷さんに、宮津の人たちが大切に受け継いできた記憶がちゃんと息づいとります。そんな静かな歴史を訪ねる旅も、ええもんどすなぁ。
夜、この物語を思い浮かべながら杯を傾けるなら、純米大吟醸YUTAKAはやや低めの10℃ほどに冷やして、薄手のガラスの酒器でいただくのがおすすめどす。すっと澄んだ喉越しの奥に、ほのかな米の甘みが静かに広がっていく味わいは、城下町の夕暮れに重なる静けさとよう似合いますえ。
ほな、また次回のお楽しみに。
これからもどうぞよろしくお願いします。
FAQ
Q. 宮津城はいつ頃のお城どすか?
A. 宮津城は天正8年(1580年)に細川藤孝が築いたお城どす。慶長5年に藤孝自らが焼き払うたのち、京極高知・高広父子が改修を重ね、寛永2年頃に近世城郭として完成したと伝わっとります。現在は天守などの遺構はあらしまへんが、太鼓門や堀跡の石垣が今もまちなかに残っとります。
Q. 太鼓門は今も見られますか?
A. 太鼓門は宮津城三の丸にあった正門の一つで、現在は宮津小学校の正門として使われとります。校内には入れまへんが、外観は誰でも見学でき、城下町の面影を感じられる貴重な遺構どす。大手橋や白壁の道とあわせて歩くのがおすすめどす。
Q. 丹州皿屋敷とはどんな話どすか?
A. 宮津城の外堀にあたる波路口の枡形虎口跡に祀られた菊姫稲荷に伝わる言い伝えどす。播州(姫路)の皿屋敷と同じ系統の、お菊さんにまつわる哀しい物語とされとりますが、詳しい筋書きや年代は地域の伝承の域を出ず、史料での裏付けは要確認どす。
Q. 散策にはどれくらい時間がかかりますか?
A. 宮津駅から太鼓門・大手橋・白壁の道・菊姫稲荷をひとめぐりするだけなら30分ほどで歩けますが、大手川ふれあい広場や周辺の寺社にも立ち寄るなら1時間ほど見ておくとゆっくり楽しめますえ。天橋立観光の前後に組み合わせるのもおすすめどす。
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