海の京都物語 第400話 峰山の絹屋佐平治はん、断食祈願で掴んだちりめん三百年どすえ|日本酒YUTAKA(豊)
海の京都物語、数えてみればこのお話で第400話を迎えましたんや。久美浜の海から丹後半島の山里まで、ぎょうさんの場所を巡らせてもろてきましたが、今日はまだ訪ねてへんかった峰山の町へご案内しますえ。
今回の舞台は、京丹後市峰山町。丹後ちりめんいう絹織物、名前くらいは聞いたことあるお方も多いんやないでしょうか。その始まりに、ある一人の男はんの断食祈願があったて、知ってはりましたか。
🧵享保五年、峰山に生まれた一枚のちりめん
享保5年(1720年)、峰山の絹屋佐平治という人物が、京都・西陣で門外不出とされていたちりめんの技術を持ち帰り、完成させたと伝わっています。佐平治は技術習得にあたり、峰山の禅定寺で聖観世音菩薩に断食祈願をしたと伝えられ、同寺にはその際に奉納されたとされるちりめんが今も残されているそうどす(要確認:奉納の経緯の詳細は寺伝によるもので一次資料での全面確認はできておりません)。
シボと呼ばれる独特の細かい凹凸を持つ丹後ちりめん。光を受けるたび表情を変えるその生地を初めて手に取ったとき、三百年前にこの土地で技術を磨き上げた職人はんたちの息づかいが、指先からふっと伝わってくるような気がしましたんや。
⛩️丹後全域に広がった技、日本遺産にも
享保7年(1722年)には、与謝野町加悦谷の木綿屋六右衛門らも西陣から技術を持ち帰り、丹後全体にちりめん織りが広まったといいます。平成29年度(2017年)には、京丹後市・宮津市・与謝野町・伊根町にまたがる「300年を紡ぐ絹が織り成す丹後ちりめん回廊」が日本遺産に認定されました。
峰山の町を歩くと、かつてちりめん問屋が軒を連ねたという通りの面影が、今も静かに残っています。機織りの音こそ聞こえてこぉへんけど、石畳を踏むたび、絹に生きた町の記憶がふっと蘇るような気ぃがしますえ。
💰峰山藩の財政を支えた絹
当時の峰山藩は石高約1万3千石の小藩やったそうですが、丹後ちりめんの生産によって藩の財政が潤ったと伝えられています。昭和30年代から40年代には「ガチャマン」と呼ばれるほどの好景気を迎え、現在も国内の和装用白生地の約6割、生糸の3割以上を消費する国内最大級の絹織物産地として丹後の地が知られています(割合の数値は近年の資料に基づくもので、年によって変動があり要確認)。
小さな藩を支えた一本の糸。それがここまで大きな産地へと育っていった道のりを思うと、峰山の静かな町並みも、どこか誇らしげに見えてきますんや。
📍行っ得メモ
・所在地:京都府京丹後市峰山町(丹後ちりめん発祥の地)
・最寄り駅:京都丹後鉄道「峰山駅」
・関連史跡:禅定寺(絹屋佐平治ゆかりの寺、要確認:拝観可否は事前にお寺や観光協会へご確認を)
・日本遺産「300年を紡ぐ絹が織り成す丹後ちりめん回廊」の構成文化財の一つ(平成29年度認定)
・かつてのちりめん問屋町の面影が残る町並みは散策にもおすすめどす
三百年前、一人の男はんが命がけで追い求めた技が、今も丹後の地に息づいている。そう思うと、何気なく目にする絹織物一枚にも、ずっしりとした重みを感じてしまいますんや。
そんな丹後ちりめんの艶やかさに合わせたいんは、やっぱり純米大吟醸YUTAKA(豊)どす。常温からやや冷やしたくらいで、薄張りのガラスの盃に注いでみとぉくれやす。口に含めば、ちりめんのシボのようにきめ細かな米の旨みがすっと広がって、後味はすっきり上品。絹の光沢と、お酒の透き通った味わいが、どこか重なって見えてきますえ。
ほな、また次回のお楽しみに。
これからもどうぞよろしくお願いします。
FAQ
Q. 丹後ちりめんはいつ生まれたん?
A. 享保5年(1720年)、峰山の絹屋佐平治が京都・西陣の技術を持ち帰り完成させたと伝わっています。その後、与謝野町加悦谷でも技術が広まり、丹後全域にちりめん織りが根付いていきました。三百年以上の歴史を持つ丹後の伝統産業どす。
Q. 禅定寺は見学できますか?
A. 禅定寺は絹屋佐平治が断食祈願をしたと伝わる、峰山町にあるゆかりの寺院どす。奉納されたちりめんが現存するといわれていますが、拝観の可否や公開状況については事前にお寺や観光協会へご確認いただくのが安心どすえ。
Q. 丹後ちりめんの特徴はなんどすか?
A. シボと呼ばれる細かい凹凸が生地の表面にあるのが特徴で、しなやかさと美しい発色を生み出します。現在も国内の和装用白生地の多くを占める産地として知られ、三百年にわたり受け継がれてきた技が今も息づいていますんや。
Q. 京丹後市峰山町へはどう行くん?
A. 京都丹後鉄道の峰山駅が最寄りで、かつてちりめん問屋が並んだという町並みを歩いて巡ることができます。日本遺産「丹後ちりめん回廊」の構成文化財も点在しているので、散策しながら歴史を感じてみておくれやす。
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