海の京都物語 第143話 舞鶴沖・冠島どすなぁ、海鳥守る神々の島のお話|日本酒YUTAKA(豊)
前回は田辺城で繰り広げられた関ヶ原の籠城戦のお話をしましたなあ。細川の殿さんらが城に立てこもらはった、あの緊張感のあるひとときどした。今日はがらっと趣を変えて、舞鶴湾の沖合にぽつんと浮かぶ、ふたつの無人島のお話をさせてもらいますえ。
その島の名は冠島(大島)と沓島(小島)どす。うちの実家からも、天気のええ日にはぼんやり海の向こうに島影が見えることがあったんどすなあ。舞鶴市の沖、日本海のただ中に浮かぶこのふたつの島には、鳥たちの楽園と、古うからの信仰が今も息づいてますんや。
🏝️舞鶴沖に浮かぶふたつの無人島
冠島は舞鶴市の沖合およそ10キロ、若狭湾に浮かぶ無人島どす。周囲は約4キロ、いちばん高いところで170メートルほどの岩山で、岩だらけの浜と切り立った崖、うっそうとした原生林に覆われてますんや。
すぐそばには沓島(小島)という、もうひとつの小さな無人島もあって、あわせて『冠島・沓島』と呼ばれてますのや。どちらも人の住まん、静かな海の孤島どすなあ。
🐦オオミズナギドリと国天然記念物
この冠島、実は西日本でも屈指の規模を誇るオオミズナギドリの繁殖地なんどす。大正13年(1924年)に、島全体が『オオミズナギドリ繁殖地』として国の天然記念物に指定されましたんえ。
今も舞鶴市では春の抱卵期と夏の育雛期に調査が続けられていて、足環をつけて一羽一羽の様子を記録してはるそうどす。海から帰ってきた鳥の群れが空を埋め尽くす『鳥吹雪』いう光景もあるそうで、想像しただけでロマンがありますなあ。
⛩️老人嶋神社と海に沈んだ郷の伝承
島には老人嶋神社(おいとしまじんじゃ)いうお社が鎮座してますのや。『日本三代実録』には元慶4年(880年)、この神さんに位が授けられた記録が残ってて、平安時代にはもう信仰の対象やったことが分かってますんえ。
『丹後国風土記残欠』には、大宝元年(701年)の地震で『凡海郷』いう陸地が一夜にして海に沈み、わずかに高い峰だけが冠島・沓島として海上に残った、という言い伝えが記されてますのや。これはあくまで伝承どすけど、島の神秘さを物語る話どすなあ。
🚫上陸できるのは年に一度だけ
この島は普段、無断での上陸が禁止されてますのや。氏子さん以外は海の上から神社を拝む『海上参拝』が基本なんどすて。上陸が許されるのは、老人嶋神社の例大祭『雄島参り』が行われる6月1日だけ、いうのが習わしどす。
むかしは徳雲寺いうお寺が神社の鍵を預かってはったそうやけど、後の時代に地元の三浜・野原・小橋の三つの村でつくる『雄島講』へと受け継がれていったんどすえ。学術調査のときにも特別に上陸が許されることがあるそうどす。
📍行っ得メモ
・冠島・沓島とも無断上陸は禁止されてます
・上陸できるのは老人嶋神社の例大祭『雄島参り』(6月1日)や学術調査のときに限られます
・舞鶴市が春と夏に生息状況調査を実施してはります
・島の姿は舞鶴湾岸など沿岸の高台から遠くに望めることがあります
人が気軽に足を踏み入れられへん島やからこそ、鳥たちも神さんも、静かに守られてきたんやなあと思いますのや。舞鶴に生まれ育ったうちにとっても、沖にぽつんと浮かぶあの島影は、ふるさとの海の奥深さを教えてくれる存在どすわ。
そんな冠島・沓島に思いを馳せながら味わうなら、純米大吟醸YUTAKA(豊)は冷やしすぎず10度前後、すっと立ち上がる吟醸香を楽しめる小ぶりのワイングラスでどうぞ。すっきりとした米の旨みと透き通るような後味は、荒波にもまれながら静かに息づく島の神域を思わせる、凛とした一献になりますんえ。
ほな、また次回のお楽しみに。
これからもどうぞよろしくお願いします。
FAQ
Q. 冠島・沓島ってどこにあるん?
A. 舞鶴市の沖合、日本海の若狭湾に浮かぶふたつの無人島どす。冠島は舞鶴の沖およそ10キロ、そのすぐそばに沓島もあって、あわせて『冠島・沓島』て呼ばれてますのや。舞鶴湾の沿岸から遠く島影を望めることもありますえ。
Q. 国の天然記念物て何が指定されてるん?
A. 冠島は西日本でも屈指のオオミズナギドリの繁殖地として、大正13年(1924年)に島全体が国の天然記念物に指定されましたんえ。今も舞鶴市が春と夏に調査を続けてはって、大切に守られてる島どすなあ。
Q. 冠島や沓島には誰か住んではるん?
A. いいえ、冠島も沓島も無人島どす。人は住んではらへんのやけど、島には老人嶋神社いうお社があって、平安時代にはすでに信仰を集めてたことが古い記録に残ってますのや。ふだんは氏子さんが海の上から拝む形どすて。
Q. 冠島に上陸してお参りできるん?
A. 普段は無断上陸が禁止されてますのや。上陸できるのは、老人嶋神社の例大祭『雄島参り』が行われる6月1日と、学術調査のときだけ、いう決まりどす。それ以外は海上から静かに手を合わせるのが習わしどすえ。
京都 丹後