海の京都物語 第199話 峰山にひっそり佇む丹後震災記念館、昭和四年生まれの震えの記憶をそっと今に伝えてくれはるんどす|日本酒YUTAKA(豊)
「海の京都物語」も気ぃついたら第199話。丹後半島をぐるり回って、神社仏閣から棚田、蒸留所に古墳まで、ほんまいろんな話をしてきましたなあ。今回訪れるんは、京丹後市峰山町室。海沿いやのうて内陸の町どすけど、丹後いう土地の芯にある、ある一つの記憶を静かに守り続けとる建物のお話どす。
その名も丹後震災記念館。以前にもこの物語で郷村断層の話をさせてもろて、昭和2年(1927年)3月7日に丹後地方を襲った北丹後地震のことには触れましたなあ。今回はあの断層そのものやのうて、震災の記憶を伝えるために建てられた「建物」の方に、じっくり光をあててみようと思うんどす。
🏛️ 全国からの義援金で建てられた洋館
丹後震災記念館は、北丹後地震から二年後の昭和4年(1929年)12月に竣工した鉄筋コンクリート造の建物どす。設計は京都府技師やった一井九平さん、施工は山虎組。震災による甚大な被害と教訓を後世に伝えるため建てられたと伝わっとります。
建物正面にはポーチが設けられ、ポーチと2階の窓にアーチをあしらったシンプルな洋風建築が特徴どす。窓が小さめに設計されとるんは、当時としては耐震性を意識した工夫やったそうな。峰山町室にひっそり建つその姿は、昭和初期の建築としての価値も認められとります。
📖 武道場に残る震災の記録
北丹後地震は峰山町を中心に丹後地方一帯へ甚大な被害をもたらし、死者は2,925人にのぼったと伝わっとります。地震の揺れそのものだけやのうて、直後に発生した火災が被害を大きゅうしたとも言われとるんどす。
記念館の武道場には、震災当時の惨状を描いた油絵が掲げられてきたそうどす。震災で被災した時計や当時の写真パネルなど、記憶をつなぐ資料の数々は現在、峰山図書館に保管され、3月7日前後には峰山地域公民館で震災記念展も開かれとるとのことどす。
🚧 今は非公開、これからの活かし方
建物は老朽化と現在の耐震基準を満たしとらんことから、平成24年(2012年)4月以降、内部への立ち入りができひん状態が続いとります。全国からの想いが詰まった建物だけに、このまま朽ちさせてしもてええんかと、地元でも議論が続いとるんどすえ。
北丹後地震から百年となる2027年を前に、京丹後市では記念館の耐震化や利活用について検討委員会を設け、民間事業者向けのサウンディング調査も行われとります。どんな形になるかはまだこれからどすけど、記憶を絶やさんとこうという想いだけは、しかと受け継がれとるようどす。
🌾 峰山の町並みと記念館
訪れる人を出迎えるんは、今は静かな峰山の町並みと、その中にぽつんと佇む震災記念館の姿どす。中には入れんでも、隣に建つ被災者慰霊塔に手を合わせながら建物を見上げると、あの日の丹後の人らの祈りと、それを見守り続けてきた歳月がじんわり伝わってくるような気ぃがするんどす。
地元の人にとってこの記念館は、当たり前の風景の一部でありながら、震災を語り継ぐ大切な拠り所でもあるんやそうどす。何気ない散歩道の先に、こないな歴史が息づいとるとは、丹後の奥深さを感じますなあ。
📍行っ得メモ
・所在地:京都府京丹後市峰山町室
・建物内部は非公開(2012年4月以降立入禁止)、外観のみ見学可能
・隣接する被災者慰霊塔にもお参りできます
・震災関連資料は峰山図書館で保管
・例年3月7日前後に峰山地域公民館で震災記念展を開催
中に入れんでも、あの震災を生き延びた人らの祈りと、二度と同じ悲しみを繰り返さんとこうという願いが、この建物にはぎゅっと詰まっとるように思うんどす。丹後いう土地の強さと優しさを、また一つ知ることができましたわ。
そんな夜は、常温よりちょっとだけ冷やしたYUTAKA(豊)を、ぽってりとした丹後焼のぐい呑みでいただくのがようおますなあ。口に含むと、ふわりと立つ吟醸香の奥に、じんわり米の甘みが広がって、すっと喉を通っていく。過ぎ去った時代を思いながら静かに盃を傾ける、そんなひとときによう似合う一杯どす。
ほな、また次回のお楽しみに。
これからもどうぞよろしくお願いします。
FAQ
Q. 丹後震災記念館はどこにありますか?
A. 京都府京丹後市峰山町室にあります。昭和2年(1927年)の北丹後地震から二年後の昭和4年(1929年)に、震災の記憶を後世に伝えるため建てられた鉄筋コンクリート造の建物どす。設計は京都府技師の一井九平さんによるものと伝わっとります。
Q. 記念館の中に入って見学できますか?
A. 現在、建物の老朽化と現行の耐震基準を満たしていないことから、平成24年(2012年)4月以降、建物内部への立ち入りはできない状態が続いとります。外観の見学は可能どすが、内部公開の可否については京丹後市教育委員会の発表を確認しはることをおすすめします。
Q. 北丹後地震とはどんな地震どしたか?
A. 昭和2年(1927年)3月7日に丹後地方を襲った大地震どす。峰山町を中心に甚大な被害をもたらし、死者は2,925人にのぼったと伝わっとります。地震の揺れに加え、直後に発生した火災が被害を大きゅうした地震としても知られとります。
Q. 旅の後にYUTAKAはどう味わえますか?
A. 常温よりちょっと冷やしたYUTAKA(豊)を、丹後焼のぐい呑みでいただくのがおすすめどす。吟醸香の奥にじんわり広がる米の甘みと、すっと喉を通る後味が、震災の記憶をたどった静かな時間によう似合いますえ。
京都 丹後