海の京都物語 第215話 都の奥座敷・三和の里にひっそり息づく大原神社、古式のままの産屋にいのちの祈りを訪ねておくれやす|日本酒YUTAKA(豊)

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 海の京都物語も気ぃついたら215話。舟屋の伊根に、丹後ちりめんの機音響くまちに、日本海の荒波打つ岬々——今まで海沿いのまちを中心にあちこち巡ってきましたなあ。今日は少し内陸へ入って、福知山市三和町の山あいにひっそり鎮座する大原神社へ、足を運んでみますえ。

 大原神社言うたら、古くから安産祈願の神様として知られるお社どす。境内の川向いには「産屋」いう、昔ながらのお産の習俗を今に伝える建物が今も残ってましてな。日本三大産屋のひとつとも紹介されることがおすが、これは資料によって表現に差があり、確たる出典までは辿れんかったので、要確認としておきますえ。ともあれ、京都府指定の文化財として大切に守られてきた、貴重な祈りの場どす。

🌸852年創建と伝わる由緒、いのちを見守る神様

 社伝によりますと、大原神社は仁寿二年(852年)三月、桑田郡野々村(今の南丹市美山町樫原)に鎮座したんが始まりと伝わっておいやす。その後、弘安二年(1279年)九月に大原の地へ遷座され、応永四年(1379年)に社殿が整うたそうどす。ただ、創建の年代については資料によって645年説なども伝わっており、差がありますよって、正確なところは要確認としときますなあ。

 祭神についても、天照大日霎命と月読命をお祀りするという記述がある一方、いざなぎ・いざなみの二柱を父母神として敬うという伝えもあり、こちらも資料によって表現が異なりますよって、要確認としておきますえ。ただ、どの伝えにも共通するんは、天下万民をお生みになった神様として、婦人の安産を守護してくれはる、いう一点どす。現在の本殿は寛政八年(1796年)に、綾部藩主・九鬼氏の庇護によって再建されたもんが、今も静かに佇んでおいやす。

🏠古式のままの産屋、七日籠もりの習俗

 境内の川向いに建つ産屋は、切妻造・茅葺、天地根元造いう様式の建物どす。妻の側から出入りする造りになってましてな、昭和60年(1985年)に京都府指定有形民俗文化財に指定されておいやす。明治より前の時代には、この産屋に妊婦さんが12把(閏年は13把)のわらを持ち込んで、出入口には魔除けの古鎌を吊るし、七日間籠もって出産をしはったそうどす。この習わしは大正年間まで続いたと伝わっておいやす。

 その後も「産後三日三夜籠もる」いう習慣が続き、やがて一日一夜へと簡略化されながら、昭和23年頃まで続いたと記録に残っておいやす。ほんの数十年前まで、いのちの誕生をこないして大切に見守ってきはった、いう事実に、頭の下がる思いがしますなあ。平成23年(2011年)には、この産屋を含む「大原の産屋の里景観」が京都府の文化的景観にも選ばれたそうどす。

🏺子安砂の信仰、公家や藩主も代参した安産の砂

 大原神社に伝わる安産のお守りいうたら「子安砂(こやすのすな)」どす。砂の入ったお守りを枕の下に敷いて休むと安産に恵まれると伝えられておりましてな、江戸時代には「守砂」とも呼ばれとりました。社務日記には、伊予・薩摩・美濃など遠方の公家や藩主家から、子安砂を求めて安産祈願の代参が寄せられた記録も残っているそうどす。無事に出産を終えたら、御礼参りをして子安砂をお返しする、いう習わしも今に続いておいやす。

🎨茅葺の絵馬殿と、境内に息づく祈りのかたち

 境内には、舞台を備えた豪壮な茅葺の絵馬殿も建っておいやす。安産の象徴とされる犬の石像もあって、参拝しはる方の目を引きますなあ。本殿・幣殿・拝殿や、摂社の火神神社、末社の水門神社なども合わせて京都府指定有形文化財となっており、社殿ひとつひとつに、長い年月をかけて積み重ねられてきた祈りの厚みを感じますえ。

📍行っ得メモ

・大原神社:京都府福知山市三和町大原191-1(電話0773-58-4324)
・アクセス:JR福知山駅からJRバス園福線「丹波新橋」下車、市バス大原線「大原」下車すぐ(本数が少ないため事前に時刻表の確認を)
・拝観は境内自由。安産祈願・初宮詣・七五三などの祈祷は予約制のため、受付時間・初穂料は要問合せ
・産屋は文化財のため、内部への立ち入りや取り扱いには十分注意し、静かに見学を

 いのちが生まれるいうことを、家族だけやのうて、まち全体で見守り、支えてきはった大原の里の歴史。産屋の前に立つと、遠い昔の妊婦さんたちの息づかいが、今もそっと聞こえてくるような、そんな気持ちになりますなあ。

 産屋の里を後にして、宿でひと息つく頃には、純米大吟醸KYOTO YUTAKAをぬる燗にして、ぽってりとした陶器の盃でいただくのがようおすなあ。ふわりと立つ吟醸香を鼻先に感じながら、ゆっくり喉を通していくと、丹波の山あいを流れる清らかな水と、幾世代にもわたって受け継がれてきたいのちへの祈りが、じんわりと重なって感じられる、そないな味わいどす。

ほな、また次回のお楽しみに。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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FAQ
Q. 大原神社はどこにありますか?
A. 京都府福知山市三和町大原191-1にございます。JR福知山駅からJRバス園福線で「丹波新橋」まで行き、市バス大原線に乗り換えて「大原」下車すぐどす。バスの本数が少のうおすので、事前に時刻表を確認してお出かけやす。拝観は境内自由どすが、祈祷は予約制なので詳細は神社へ直接お問い合わせやす。

Q. 産屋とはどんな建物ですか?
A. 産屋は、切妻造・茅葺の天地根元造という様式の建物で、昔のお産の習俗を今に伝えるものどす。明治より前には、妊婦さんがわらを持ち込んで七日間籠もり、出産をしはったと伝わっておいやす。昭和60年に京都府指定有形民俗文化財に指定され、大切に保存されておいやす。

Q. 日本三大産屋というのは本当ですか?
A. そう紹介されることもおすが、確たる一次資料までは辿れず、今回は要確認としております。ただ、産屋が現存し、京都府の文化財として保存されている例は全国的にも珍しく、貴重な存在であることは間違いおへん。詳しくは神社や福知山観光協会に直接お尋ねやすとよろしおす。

Q. 子安砂とはどんなお守りですか?
A. 子安砂は、砂の入った安産のお守りどす。枕の下に敷いて休むと安産に恵まれると伝えられ、江戸時代には遠方の公家や藩主家からも代参が寄せられたそうどす。無事出産された後は、御礼参りをしてお砂をお返しする習わしが今も続いておいやす。

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