海の京都物語 第288話 太鼓と笛に合わせ、亀島の若い衆が青島の蛭子はんへ船漕ぎ競う『こばりあい』、おべっさんの夏どすえ|日本酒YUTAKA(豊)

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 海の京都物語も第288話を数え、伊根町の舟屋をはじめ、新井崎神社や浦嶋神社、伊根湾めぐり遊覧船、新井の棚田、へしこに岩牡蠣と、この湾に抱かれた町の表情をあれこれ覗いてきたんどす。

 せやけど伊根は舟屋だけやあらしまへん。今日は舟屋の背後にひっそり浮かぶ小さな島と、そこで夏に繰り広げられる勇ましい祭り、『おべっさん』へご案内しますえ。

⛩️青島に鎮まる蛭子はん

 伊根湾の入口に、こんもり木の茂った小さな島が浮かんでますんや。その名も青島。ここに鎮座するんが蛭子神社どす。京都府与謝郡伊根町、亀島地区の沖合にあって、地元の漁師衆にとっては海の安全と大漁を見守ってくれる、いわば守り神のような存在どす(伊根町観光協会)。

 青島言うたら、普段は静かにぽつんと浮かぶばかりの無人の島どすが、年に一度だけ、この島めがけて勢いよう船を漕ぎ寄せる日があるんどす。それが毎年8月20日の『おべっさん』、蛭子神社の祭礼どすえ。

🚣こばりあい、手漕ぎ舟の意地くらべ

 おべっさんの日、亀島地区の若い衆が手漕ぎの祭礼船を仕立てて青島へ参拝しますんや。太鼓と横笛の音に合わせて漕ぎ進み、参拝を終えた帰り道には『こばりあい』いう勇壮な競漕が待ってますのや(伊根町観光協会)。伝え聞くところでは、かつては相撲奉納も合わせて行われ、もっと多くの地区が加わっとったそうどすが、今は立石地区と耳鼻地区の2地区が意地を懸けて漕ぎ競う形で続いとるようどす(要確認)。

 夏の日差しが湾いっぱいに照りつけるなか、櫓を漕ぐ掛け声と太鼓の音が重なって、舟屋の軒先にまで響いてくるんどす。勝ち負けを超えて、海で生きる者同士の心意気がぶつかりおうとるような、そないな熱気を感じる一日どす。

🐋鯨が育てた浦の暮らし

 伊根浦言うたら、古くは天文年間(1532〜1554年)の頃から古式捕鯨が営まれてきた浦として知られとりますんや。明暦2年(1656年)以降は亀島村が湾口を網で塞いで鯨を追い込む漁を一手に担うようになったと伝わっとります(全国漁業協同組合連合会「ふるさとの味100選」関連資料より)。

 おべっさんで海の安全と大漁を祈る心は、こうして鯨を追い、網を引き、波と向き合うてきた浦の暮らしの積み重ねの上に立っとるんやないかと、青島を眺めながらふと思うたりしますんや。

📍行っ得メモ

・開催日:毎年8月20日(開催状況は年により変わることがあるため要事前確認)
・場所:京都府与謝郡伊根町 青島(蛭子神社)、亀島地区沖
・見どころ:太鼓と横笛にのせた手漕ぎ祭礼船の参拝、帰路の競漕『こばりあい』
・問い合わせ:伊根町観光協会 電話0772-32-0277

 小さな島ひとつにこれだけの祈りと力こぶが集まるんやから、伊根の海はほんまに奥が深おすなあ。舟屋ばかりに目を奪われとったら、見過ごしてしまうとこやったわ。

 青島へ漕ぎ寄せる男衆の熱気を思い浮かべながら、YUTAKAはちょっと温度を上げて、ぬる燗でいただくのが似合う気がしますんや。切子のぐい呑みにそっと注いで口に含むと、米の旨みがふわりと広がって、鼻先に太鼓の音と潮の香りが蘇ってくるような、そないな一杯どす。

ほな、また次回のお楽しみに。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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FAQ
Q. おべっさんはいつ開催されますか?
A. 伊根町青島の蛭子神社で行われる夏祭り『おべっさん』は、毎年8月20日に開催されます。亀島地区の若い衆が手漕ぎの祭礼船で青島へ参拝し、帰路には『こばりあい』と呼ばれる勇壮な競漕が繰り広げられます。実際の開催状況は年により変わることもあるため、お出かけ前に伊根町観光協会へご確認いただくのがおすすめどす。

Q. 青島とはどんな場所ですか?
A. 青島は伊根湾の入口に浮かぶ小さな島で、蛭子神社が鎮座しとります。京都府与謝郡伊根町、亀島地区の沖合に位置し、地元の漁師たちから海の安全と大漁を見守る守り神として大切にされてきました。普段は静かな無人の島どすが、おべっさんの日だけは祭礼船で賑わいますんや。

Q. こばりあいとはどんな競技ですか?
A. こばりあいは、おべっさんの祭礼の帰路に行われる手漕ぎ舟の競漕どす。太鼓と横笛の音に合わせて漕ぎ進み、かつては相撲奉納も合わせて行われていたと伝わっとります。現在は立石地区と耳鼻地区が参加しているとされ、海で生きる男衆の心意気がぶつかり合う、祭り最大の見どころどす(要確認)。

Q. 伊根浦と捕鯨の関係はありますか?
A. 伊根浦では天文年間(1532〜1554年)の頃から古式捕鯨が行われていたと伝わり、明暦2年(1656年)以降は亀島村が湾口を網で塞いで鯨を追い込む漁を担うようになったとされます。海と共に生きてきたこの浦の歴史が、おべっさんで海の安全と大漁を祈る心にもつながっとるんやないでしょうか。

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