海の京都物語 第96話 丹後ちりめんと大正ロマンの洋館、大宮町口大野をゆく|日本酒YUTAKA(豊)

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 こんにちは、KYOTO YUTAKAの中の人どす。「海の京都物語」もとうとう第96話、いよいよ100話が見えてきましたなあ。今回もまた、京丹後市大宮町(おおみやちょう)にお邪魔します。大宮町はこれまでも、大宮売神社や「日本一小さな百貨店」つねよし百貨店、内山ブナ林など、たびたびこのシリーズの舞台になってきましたけど、今日はまだご紹介しきれていない一面をお届けしますえ。

 大宮町は1951年(昭和26年)、周辺の6つの村が合併して誕生した町どす。面積の約8割が山林という、竹野川と山々に抱かれた土地柄。そしてもうひとつ、この町を語るうえで欠かせないのが「丹後ちりめん」という織物の存在どす。今回は、大宮町の中でも竹野川沿いに広がる「口大野」という地区にスポットを当てて、ちりめんと近代建築の物語をお届けします。

🧵 三百年紡ぐ、丹後ちりめんの里の記憶

 丹後ちりめんは享保年間(1720年頃)、西陣で技術を学んだ人々によって丹後にもたらされたのが始まりとされますが、大宮町もその発展の重要な舞台のひとつどした。慶応3年(1867年)、口大野村のちりめん商人・蒲田善兵衛(かまたぜんべえ)が、経糸に生糸、緯糸に綿糸を使った「綿ちりめん」を考案したと伝わっています。開国によって生糸が海外に輸出され、国内の生糸価格が高騰していた時代背景の中で生まれた、いわば当時のイノベーションどしたんやなあと思います。

 その後、大宮町は丹後ちりめんの一大産地として発展し、昭和57年(1982年)時点でも、町内の戸数の約7割が織物関連の仕事に携わっていたという記録が残っています。ガチャンと機(はた)の音が響けば一万円儲かる、と言われた「ガチャ万」の時代を経て、今も大宮町には現役の織元さんが機を織り続けておられます。細やかなシボ(しわ)が生む独特の風合いは、まさにこの土地の職人たちが積み重ねてきた技の結晶どすね。

🏛 和風の町並みにひとつだけ、大正・昭和の洋館

 口大野地区を歩いていて驚くのが、和風の民家が並ぶ景観の中に、ぽつんと洋風の建物が佇んでいることどす。これが「旧口大野村役場庁舎」。昭和4年(1929年)に村役場として建てられた擬洋風建築で、平成11年(1999年)には国の登録有形文化財に指定されました。

 京丹後市の資料によれば、この建物は「和風民家の並ぶ景観の中で唯一擬洋風のモダンな景観を生み出しており、特異な存在感を有する」とされ、「昭和初期の洋風建築の村役場が建造当初の姿をよくとどめており、貴重なもの」と評価されています。役場としての役目を終えたあとも、公民館、銀行支店、商工会館などとして姿を変えながら、今日まで地域に寄り添い続けてきた建物どす。ちりめん機業で栄えた口大野の富の象徴でもあり、時代の移り変わりを静かに見守ってきた、まさに「生き証人」のような存在どすね。

🎨 大震災を越えて、そして口大野が生んだ画家

 実はこの洋館が建てられた背景には、昭和2年(1927年)の北丹後地震という大きな出来事がありました。口大野地区も甚大な被害を受け、記録では地区の死者は人口の約2.7%にあたる49人にのぼったとされています。震災からの復興のなかで、モダンな洋館の庁舎が新しく生まれたことになります。

 そしてもうひとつ、口大野にゆかりのある人物として、シュルレアリスムの画家・小牧源太郎(こまきげんたろう、1906〜1989年)の名も挙げておきたいと思います。ダリやミロといったシュルレアリスム絵画に影響を受けながら、稲荷や道祖神といった日本の民俗信仰をモチーフにした独自の作風で知られる画家どす。京都文化博物館などでも回顧展が開かれており、京丹後にもゆかりの深い作家として地元でも紹介されています。

📍行っ得メモ

・旧口大野村役場庁舎:京都府京丹後市大宮町口大野226番地。平成11年(1999年)国登録有形文化財。外観の見学がメインとなりますので、内部公開の可否や見学については事前に京丹後市教育委員会 文化財保存活用課(電話0772-69-0640)にご確認くださいね。
・アクセス:京都丹後鉄道 宮豊線「京丹後大宮駅」から徒歩圏内。この駅、実は開業時(大正14年/1925年)は「口大野駅」という名前だったんどす。その後「丹後大宮駅」を経て、2015年に現在の「京丹後大宮駅」に改称されました。
・車の場合は国道312号や京都府道657号明田京丹後大宮停車場線からアクセス可能。丹後海陸交通のバス停も近くにあります。
・すぐ近くには大宮売神社(丹後国二宮)もありますので、あわせて大宮町散策コースに組み込むのもおすすめどす。
・織物工房の見学については、大宮町内で今も操業されている機屋さんがありますが、一般公開されているとは限らないため、訪問前に地元の商工会や観光協会に問い合わせるのが確実どす。

 口大野の洋館を見上げながら、ふと思ったんどす。丹後ちりめんの生地に浮かぶ「シボ」の細やかな凹凸って、磨き抜かれた純米大吟醸YUTAKAの、あのなめらかな米の甘みと、どこか重なる気がしますなあ。

 大正・昭和の洋館の窓辺をイメージしながら、YUTAKAはぜひ冷やしてガラスの盃でどうぞ。きりりと澄んだ喉ごしと、ふわりと立ちのぼる吟醸香が、モダンな洋館建築の凛とした佇まいと響き合うような気がします。織物の里で丁寧に紡がれてきた三百年の時間に思いを馳せながら、静かにひと口。そんな夜も、また格別どすえ。

 大宮町の口大野には、和と洋、伝統と近代が同居する不思議な魅力がありました。ちりめんの音、震災を越えて建てられた洋館、そして異色の画家の記憶――派手さはなくとも、じっくり味わうほどに深みが増す、まさに純米大吟醸YUTAKAのような土地どした。

ほな、また次回のお楽しみに。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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FAQ
Q. 京丹後市大宮町の丹後ちりめんは、今も体験できますか?
A. 大宮町内には今も操業を続ける機屋(はたや)さんがありますが、常時一般公開されているわけではありません。見学を希望される場合は、事前に京丹後市の観光協会や商工会にお問い合わせいただくのが確実どす。近隣の与謝野町には「丹後ちりめん歴史館」もあり、あわせて丹後ちりめんの世界に触れることができます。

Q. 旧口大野村役場庁舎の中に入ることはできますか?
A. 建物は国登録有形文化財として現存していますが、内部の公開状況は時期によって変わる可能性があります。訪問前に京丹後市教育委員会 文化財保存活用課(0772-69-0640)にご確認いただくのが安心どす。まずは外観だけでも、和風の町並みに佇む洋館の存在感をぜひ感じてみてくださいね。

Q. 純米大吟醸YUTAKAは、どんな温度で飲むのがおすすめどすか?
A. YUTAKAは冷やして飲んでいただくと、すっきりとした喉ごしと華やかな吟醸香をより楽しんでいただけます。今回ご紹介したような洋館建築や織物文化に思いを馳せながら、少し背筋を伸ばして、ガラスの盃でゆっくり味わっていただくのがおすすめどす。

Q. 大宮町を訪れる際、他にあわせて巡れるスポットはありますか?
A. 同じ大宮町内には、丹後国二宮とされる大宮売神社や、北近畿最大級の内山ブナ林、「日本一小さな百貨店」つねよし百貨店など、これまでのシリーズでご紹介したスポットも点在しています。口大野の洋館と合わせて、一日かけてじっくり巡っていただくのもおすすめどす。

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