海の京都物語 第100話 久美浜湾をぐるり、蔵から蔵への完結編|日本酒YUTAKA(豊)

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 みなさま、ごきげんようどす。「海の京都物語」、とうとう第100話を迎えることになりました。

 舞鶴市からスタートして、宮津市、伊根町、与謝野町、そして京丹後市の六つの町をぐるぐると巡ってきたこの連載も、今日で節目の100話目どす。最後にもう一度足を運ぶのは、京丹後市久美浜町。あの穏やかな久美浜湾のほとりの町どす。

 かぶと山や小天橋、神谷神社、かき養殖の風景といった名所は、これまでの回でしっかりご紹介してきました。そこで今日は少し違う角度から、久美浜湾を自転車でぐるりと一周できるサイクリングロード「クミイチ」を軸に、この町の休みどころと酒の歴史をたどってみようと思います。

🚲 久美浜湾をぐるり一周、サイクリング「クミイチ」

 久美浜湾をぐるっと一周できるサイクリングコースは、地元で「クミイチ」の愛称で親しまれとります。出発点は京都丹後鉄道「久美浜駅」。駅構内の久美浜町観光総合案内所でe-bikeのレンタサイクルを借りられ、古い町並みや湾に浮かぶかき棚の景色を眺めながらペダルを漕いでいく、初心者にも走りやすいコースどす。

 ある紹介記事では、湾一周に夕日ヶ浦のブランコ「ゆらり」まで足を延ばすルートで約30km、獲得標高350m、所要目安2時間ほどと紹介されとります(実際の距離は回るルートや立ち寄り先によって変わりますので、あくまで目安にしてくださいね)。

 このあたり一帯は山陰海岸ジオパークの久美浜コースにも含まれており、砂州「小天橋」やかぶと山など、日本海の波と季節風がつくりあげた地形を間近で感じられるのも魅力どす。湾の水面はほんまに穏やかで、走っとると時々、海というより大きな湖のほとりを走っとるような、不思議な気持ちになりますえ。

♨️ 走り終えた脚を癒す、久美浜温泉のひとっ風呂

 クミイチのコース途中、久美浜湾からほど近い田園風景の中にぽつんとあるのが「久美浜温泉湯元館」。1974年(昭和49年)の開業当初から「久美浜温泉」を名乗る一軒宿で、当時この町にあった温泉はここだけだったと伝わっとります。

 泉質はカルシウム・ナトリウム-塩化物泉(低張性アルカリ性高温泉)。無色透明・無臭で、神経痛や関節痛、冷え性、疲労回復などにやさしいと紹介されとります。約51度の高温源泉と約33度の低温源泉を掛け合わせた、野趣あふれる大露天風呂が自慢で、滝の流れる天然露天風呂や薬草風呂も楽しめます。日帰り入浴は9:00〜21:00で年中無休(詳しい料金は要問合せ)。サイクリングで湾を一周した後、汗を流した脚をゆっくり伸ばすのにぴったりの一軒どす。

 湯船に浸かりながら、今しがた漕いできた久美浜湾の穏やかな水面を思い出す。それだけでも、久美浜という町の懐の深さが伝わってくる気がしますなぁ。

🍶 英国人杜氏が醸す、久美浜のもう一つの銘酒「玉川」

 久美浜町甲山には、地酒「玉川」を醸す木下酒造があります。創業は1842年(天保13年)、5代目・木下善兵衛が酒造権を買い受けて始めたと伝わり、現在は11代目の木下善人さんが蔵を継いどります。蔵の名は、隣を流れる川上谷川の清流が「玉砂利を敷き詰めたような美しい川」と評されたことに由来するそうどす。

 この蔵で2007年から杜氏を務めるのが、英国バーミンガム生まれのフィリップ・ハーパーさん。オックスフォード大学でドイツ文学を学んだのち、1988年にJETプログラムで来日し、日本酒に魅せられて1991年から奈良の梅乃宿酒造で修業。2001年には南部杜氏の資格を取得し、木下酒造に入蔵後の2008年・2012年には全国新酒鑑評会で金賞を受賞。外国出身の杜氏としては同鑑評会史上初の快挙だったといいます。

 同じ京丹後の海と山に育まれながら、旨味を主軸にした味わいを追い求める玉川と、華やかな香りが持ち味のYUTAKA。造り手も個性もまったく違う二つの酒が、同じ町の中で今日も醸され続けとる。そのことがなんだか、嬉しくなりますえ。

📍行っ得メモ

・クミイチ(久美浜湾一周サイクリングコース):京都丹後鉄道「久美浜駅」構内の久美浜町観光総合案内所でレンタサイクル受付(9:00〜17:00、受付16:00まで)。e-bikeは前日17時までの電話予約がおすすめ(0772-82-1781)
・久美浜温泉湯元館:京丹後市久美浜町平田1106-4/日帰り入浴9:00〜21:00・年中無休/0772-83-1071
・木下酒造(地酒「玉川」):京都府京丹後市久美浜町甲山1512/営業9:00〜17:00/元日休/0772-82-0071・0772-82-1770
・出発・帰着はどちらも久美浜駅が便利。京都丹後鉄道でアクセスできます
・湾沿いには休憩ポイントも点在。のんびり景色を楽しみながら漕いでみてください

 クミイチを走り終えて、久美浜温泉の露天風呂でくたびれた脚を伸ばしたあとは、やっぱりわたしらの純米大吟醸YUTAKAのことを思い出してしまいますなぁ。久美浜の穏やかな湾を眺めながら、キリッと冷やしたYUTAKAを一杯。湯上がりの火照った体にすっと染みる冷酒と、英国からやってきた杜氏が磨き上げた玉川。同じ海と土地が育んできた酒どすから、飲み比べてみるのも一興どすえ。

 思えばこの「海の京都物語」も、舞鶴の港から始まって宮津、伊根、与謝野、そして京丹後市の六つの町を二度も巡って、とうとう100話までたどり着きました。拙い文章にここまでお付き合いくださった読者のみなさまには、ほんまに感謝の言葉しかありません。長いこと読んでくださって、おおきに。

 一つひとつの町に、それぞれの海があって、それぞれの物語があって。その全部が「海の京都」というひとつの景色につながっとることを、この連載を通して少しでもお伝えできていたら嬉しいなと思います。

ほな、また次回のお楽しみに。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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FAQ
Q. クミイチ(久美浜湾一周サイクリングコース)はどこから出発できますか?
A. 出発地点は京都丹後鉄道「久美浜駅」どす。駅構内の久美浜町観光総合案内所でe-bikeのレンタサイクルを借りられ、営業時間は9:00〜17:00(受付16:00まで)。前日17時までの電話予約(0772-82-1781)がおすすめどす。夕日ヶ浦まで足を延ばすルートでは約30km、2時間ほどが目安と紹介されとります。

Q. 久美浜温泉はクミイチのコース途中で立ち寄れますか?
A. はい、久美浜湾からほど近い田園風景の中にある一軒宿「久美浜温泉湯元館」どす。1974年開業で、約51度と約33度の源泉を掛け合わせた大露天風呂が自慢。日帰り入浴は9:00〜21:00・年中無休で楽しめますので、サイクリングで疲れた脚を癒すのにぴったりどすえ。

Q. 木下酒造の「玉川」とYUTAKAはどう違いますか?
A. 玉川は久美浜町甲山にある木下酒造が1842年から醸す地酒で、2007年からは英国出身の杜氏フィリップ・ハーパーさんが手がけとります。旨味を主軸にした味わいが特徴どす。一方YUTAKAは宮津市のハクレイ酒造による純米大吟醸で、華やかで上品な香りが持ち味。同じ京丹後の海と土地から生まれた、それぞれ個性の違う一杯どすえ。

Q. 「海の京都物語」は今回で終わりですか?
A. はい、今回の第100話をもちまして、舞鶴市・宮津市・伊根町・与謝野町・京丹後市をめぐってきたこの連載はひと区切りとなります。100話も読み続けてくださった読者のみなさまには、心から感謝しとります。またどこかの形で海の京都の物語をお届けできたら嬉しいどす。

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