海の京都物語 第168話 鉄幹はんと晶子はんの歌がひっそり息づく与謝野町の江山文庫、丹後の文学香る歌碑めぐりの静かな一日どす|日本酒YUTAKA(豊)
海の京都物語もいよいよ第168話を迎えましたなぁ。これまで丹後ちりめん街道の甍波や加悦鉄道の廃線跡、大江山の鬼伝説、出雲大社与謝分祠の杜、滝の千年ツバキ、蛭子山古墳の眠りと、与謝野町の懐深い表情をご紹介してきましたんや。今回は趣向を変えて、静かな文学の香り漂う「与謝野町立江山文庫」を訪ねてみますえ。
与謝野町いう地名そのものが、明治から昭和にかけて活躍した歌人・与謝野鉄幹と与謝野晶子の姓に由来してますのは、ご存じの方も多いんとちゃいますやろか。その二人の足跡と言葉が、今もひっそりと息づいてはる場所どす。
📚与謝野の血脈と江山文庫のはじまり
江山文庫は京都府与謝郡与謝野町字金屋にある、京都府北部では数少ない文学専門の資料館どす。実は鉄幹の父・与謝野礼厳はんは、この加悦谷で生まれ育った浄土宗の僧侶であり歌人やったと伝わっておりますんや。
その縁もあって鉄幹・晶子夫妻はんは幾度となくこの地を訪れ、たくさんの歌を詠み残さはったそうどす。江山文庫にはそのとき詠まれた歌の短冊も、いくつか保管されてますんやて。
金屋の集落を歩いてはりますと、瓦屋根の家並みの向こうに小さな文庫の建物がひょっこり見えてきますんや。派手さはあらしまへんけど、明治の文人が確かにこの土地を踏んで歌を詠んだんやなぁと思うと、足取りがしゃんと引き締まる思いどした。
🖌短冊と掛け軸、3000点を超える至宝
文庫には与謝蕪村や高浜虚子、山口誓子いうた、与謝野町にゆかりの歌人・俳人はんらの短歌・俳句に関する掛け軸や短冊が収蔵されてまして、その点数は3000点を優に超えるんやそうどす。中でも晶子はんの直筆短歌は常時観覧できるよう展示されてますんや。
ガラスケース越しに晶子はんの筆致をじっと見つめてますと、あの情熱的な歌の数々が、この小さな紙の上から生まれたんかと思うて、なんや胸の奥がきゅっと熱うなりましたわ。
🌸敷地に佇む晶子の歌碑としだれ桜
文庫の敷地内には、与謝野晶子はんの歌碑も据えられてますんや。赤・青・緑の三色が美しい継色紙に書かれた原作を、信楽焼で再現しはったもんやそうどす。大正14年頃、知人から自宅の庭にしだれ桜を贈られた折に詠まはった歌で、昭和3年刊行の歌集『心の遠景』に収められてますんやて。
与謝野町にはこの江山文庫の周辺と、天橋立を望む大内峠エリアを中心に、町内合わせて十数基もの歌碑・句碑が点在してますんや。親水公園の蕪村句碑を出発点に、観光協会前の歌碑群を巡って江山文庫へと至る道のりは、片道二十分から二十五分ほどの散策コースになってますんやて。
しだれ桜の季節にはまだ間があるこの時季どすけど、風に揺れる木々の葉音を聞きながら碑文を辿ってますと、百年近く前にこの場所で歌を詠んだ晶子はんの息づかいが、そっと重なるような気ぃがしましたんや。
🖋今も続く句会と読書会のともしび
江山文庫では年に数回、短歌・俳句・日本画を中心とした企画展が催されてますほか、句会体験講座や晶子はんの童話読書会いうた催しも毎月開かれてますんやて。「江山文庫俳句大賞」いう文学賞まで開催されてはる、地域文化の発信拠点どす。
平日の昼下がり、館内から漏れ聞こえてきた句会の声には、遠い明治・大正の文人たちへの敬意がそのまま息づいてるような、あたたかさがありましたわ。
📍行っ得メモ
・与謝野町立江山文庫(京都府与謝郡与謝野町字金屋1682)/最寄りは与謝野駅どす
・開館時間は10時前後〜17時、休館日は月曜(祝日の場合は翌日)と年末年始、入館料は大人200円・小中学生100円どす(訪問前に最新情報のご確認を)
・駐車場は隣接に5台、100mほど下った場所に15台分ありますんや
鉄幹はんと晶子はんが愛しんだ加悦谷の風景は、今もそう大きくは変わってへんのやろなぁ、と思わせる静けさが江山文庫にはありますんや。派手な観光地とはちゃいますけど、言葉を大切にしてきた土地の重みを、静かに感じさせてくれる場所どした。
文庫を後にして、宿でひと息つきながら純米大吟醸YUTAKA(豊)を冷酒でいただきますと、薄手のガラス盃に注いだ酒がきりりと澄んで、吟醸香がふわりと立ちのぼりますんや。米の旨みを残しながらも後口はすっと軽い口当たりで、まるで晶子はんの歌に流れる情熱と繊細さが同居してるような味わいどした。歌碑めぐりの余韻に浸りながら味おうYUTAKAの一杯は、文学の里にふさわしい静かな贅沢どしたわ。
ほな、また次回のお楽しみに。
これからもどうぞよろしくお願いします。
FAQ
Q. 江山文庫ってどんな施設どすか?
A. 与謝野町字金屋にある京都府北部で数少ない文学専門の資料館どす。与謝野町にゆかりの深い与謝野鉄幹・晶子夫妻をはじめ、与謝蕪村、高浜虚子、山口誓子いうた歌人・俳人はんらの短歌や俳句に関する掛け軸・短冊などを3000点以上収蔵してますんや。晶子はんの直筆短歌は常時観覧できますえ。
Q. 鉄幹・晶子と与謝野町の関係は?
A. 鉄幹はんのお父さん・与謝野礼厳はんが、この加悦谷で生まれ育った浄土宗の僧侶であり歌人やったと伝わってますんや。その縁で鉄幹・晶子夫妻はんも度々この地を訪れ、たくさんの歌を詠み残さはったそうどす。江山文庫にはそのとき詠まれた歌の短冊も保管されてますんやて。
Q. 敷地内の歌碑はどんなもんどすか?
A. 赤・青・緑の三色が美しい継色紙に書かれた晶子はんの原作を、信楽焼で再現しはった歌碑どす。大正14年頃、知人から自宅の庭にしだれ桜を贈られた折に詠まはった歌で、昭和3年刊行の歌集『心の遠景』に収められてますんやて。町内には他にも十数基の歌碑・句碑が点在してますえ。
Q. YUTAKAと一緒に味わうなら?
A. 文庫を訪れた余韻に浸りながら、純米大吟醸YUTAKA(豊)を冷酒で薄手のガラス盃に注いでいただくのがおすすめどす。すっきりとした吟醸香と軽やかな後口が、晶子はんの歌に流れる情熱と繊細さを思わせる味わいで、静かな文学散策の締めくくりにぴったりどすえ。
京都 丹後