海の京都物語 第179話 丹後ちりめんで財を成さはった尾藤はんの旧宅、加悦の町並みに残る御殿の心意気を訪ねましたんえ|日本酒YUTAKA(豊)

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 海の京都物語、今回で179話目を迎えましたなあ。丹後の海辺の町や漁師町を巡ってきたこの連載どすけど、今日は少し内陸に入って、与謝野町加悦の「ちりめん街道」へご案内しますえ。

 ちりめん街道言うたら白壁の町家がずらり並ぶ通りどすけど、その中でもひときわ目を引くお屋敷が「旧尾藤家住宅」どす。令和6年に国の重要文化財にも指定されたばかりの、丹後ちりめん商家の粋を集めたお屋敷を、今日はじっくり味おうてみまひょ。

🏯 武士から丹後ちりめん商人へ、尾藤家の歩みどす

 尾藤家はもともと当地の武士やったんどすけど、江戸時代には七十石取りの大庄屋を務めはり、江戸後期からは丹後ちりめんの問屋として財を成さはったんどす。北前船「蓬莱丸」も所有しはったて言いますし、明治には十代目が丹後銀行の初代頭取に、十一代目庄蔵さんは加悦町長と加悦鉄道の社長も兼ねはったそうどす。

 ちりめん一反一反を大坂や江戸へ運ぶだけやのうて、銀行も鉄道も自分らで興さはる。そのくらいのお力があったからこそ、加悦の町がちりめん景気に沸いた時代の顔として、今も名前が残ってるんやなあと感じ入りますえ。

🏠 慶応元年築の主屋と、白壁ちりめん格子どすえ

 主屋は慶応元年(1865年)の建造で、もともとは兵庫県豊岡市日高町、但馬の地から移築されたものやそうどす。ちりめん街道の中でも最古級の建物で、但馬と丹後、両方の民家の特徴をうまいこと取り入れた造りになってるんどす。白壁とちりめん格子、土塀の上に載ったガラス製の丸い街灯が、通りに面した佇まいを引き締めてますえ。

 敷地の奥行きも深うて、主屋の奥には複数の土蔵が並びますんや。ちりめん街道を歩いて尾藤家住宅の前に立つと、間口の広さと奥行きの深さだけで、往時の商いの大きさが伝わってきますわ。

🍸 昭和の洋館、ハイカラな新座敷どす

 昭和3年(1928年)には、十一代目庄蔵さんが新座敷の洋館部分を建てはりました。設計の助言は大林組の設計部長・今林彦太郎はん、そう、甲子園球場を手がけはったお方どす。内装は大阪高島屋が担当して、椅子や机、ベッドまで庄蔵さん特注の調度品やったて言いますから、当時のハイカラぶりが偲ばれますなあ。

 一階は純然たる和風、二階に上がると洋風の応接間や書斎、ステンドグラスまで備わってる。丹後ちりめんで築いた富を、地方に居ながら最先端の暮らしへ変えていかはった尾藤家の心意気が、この和洋折衷の造りに詰まってる気がしますえ。

🌳 座敷から眺める表庭と中庭どす

 お屋敷の庭は、敷地の北東隅に構えた表庭と、居間や奥座敷から眺められる中庭とに分かれてますんや。座敷や奥座敷、それぞれの部屋から見え方が変わるように配置されてるさかい、季節や時間によって庭の表情もまた違うて映るんどすやろなあ。

 商家の庭言うたら実利一辺倒かと思いきや、こうして座敷ごとに違う景色を用意しはるとこに、尾藤家の暮らしへのこだわりが表れてる気がしますえ。

📜 府指定から国の重要文化財へどす

 平成14年(2002年)3月26日に京都府指定有形文化財となり、同じ年の11月には尾藤家から加悦町へ建物が寄付されましたんや。保存修理を経て平成16年(2004年)10月に一般公開が始まり、平成29年(2017年)には日本遺産「丹後ちりめん回廊」を構成する文化財にも認定されましたそうどす。

 そして令和6年(2024年)1月19日、建物8棟と棟札・家相図など附指定を含めて、とうとう国の重要文化財に指定されましたんや。近世末期から近代への建築の移り変わりがようわかる遺構として、丹後ちりめん産業の繁栄を伝える価値が認められたんどすて。半世紀以上前の暮らしがそのまま残ってるお屋敷を歩けるやなんて、ほんまに贅沢などすなあ。

📍行っ得メモ

・旧尾藤家住宅は与謝野町加悦の「ちりめん街道」沿いにあり、丹海バス「ちりめん街道」下車徒歩約5分どす
・開館時間は9:00〜17:00、休館日は毎週水曜(祝日の場合は翌日)と年末年始どす
・入館料は大人440円、小・中学生110円(8名以上は団体割引あり)どす
・令和6年(2024年)に国の重要文化財に指定されたばかりの貴重なお屋敷どすえ

 ちりめん街道を歩いてたら見過ごしてしまいそうなお屋敷どすけど、一歩中へ入ったら、丹後ちりめんで財を成さはった一族の心意気がそこかしこに残ってますんや。国の重要文化財になったんも、うなずける重みどしたわ。

 こないなハイカラな洋館の応接間を思い浮かべながら、YUTAKA(豊)は常温か、ほんの少しだけ冷やして、切子のグラスでいただくのがようお似合いどす。すっと喉を通る綺麗な後口が、和と洋、両方の趣を併せ持つお屋敷の空気にそっと寄り添うてくれますえ。

ほな、また次回のお楽しみに。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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FAQ
Q. 旧尾藤家住宅とはどんな建物どすか?
A. 与謝野町加悦の「ちりめん街道」にある、江戸後期から丹後ちりめん問屋として栄えた尾藤家の旧宅どす。主屋は慶応元年(1865年)建造で但馬から移築されたもの、昭和初期建造の洋館も備え、令和6年(2024年)に国の重要文化財に指定されましたんや。

Q. 見学時間や入館料はどれくらいどすか?
A. 開館時間は9:00〜17:00どす。休館日は毎週水曜(祝日の場合は翌日)と年末年始どすえ。入館料は大人440円、小・中学生110円で、8名以上やと団体割引もありますんや。ちりめん街道散策のついでに、ぜひ立ち寄ってみとくれやす。

Q. 尾藤家はどんな一族どしたか?
A. もとは当地の武士で、江戸期には大庄屋を務めた後、丹後ちりめん問屋として財を成さはった一族どす。北前船も所有し、明治には十代目が丹後銀行を興し、十一代目は加悦町長と加悦鉄道社長も兼ねはるなど、地域の近代化にも大きく貢献しはりましたんや。

Q. アクセス方法を教えとくれやす。
A. 丹海バス「ちりめん街道」バス停から徒歩約5分どす。京都縦貫自動車道の与謝天橋立ICからは車で約15分ほどどすえ。ちりめん街道自体が重要伝統的建造物群保存地区どすさかい、白壁の町並みを歩きながら向かうのもまた楽しいもんどす。

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