海の京都物語 第176話 大江山のふもとに広がる、日本の棚田百選・毛原の大小六百枚がつくる里の祈りと実りの景色どすえ|日本酒YUTAKA(豊)

•

 海の京都物語、第176話どす。これまで舟屋の町や漁港、鬼伝説の里など、丹後・与謝・福知山のあちこちを巡ってまいりましたなあ。今回は少し目線を変えて、山あいの集落に広がる「棚田」の景色をご紹介したいと思いますんどす。

 訪ねるのは京都府福知山市大江町毛原。あの鬼伝説で知られる大江山の南麓にある、小さな山里どす。ここに広がる「毛原の棚田」は、農林水産省が選ぶ「日本の棚田百選」のひとつに数えられとる、京都府北部を代表する棚田景観なんどすえ。

🌾 大小六百枚、大江山南麓に広がる棚田百選の里

 毛原の棚田は1999年(平成11年)7月、農林水産省によって「日本の棚田百選」に選定されましたんどす。急な斜面地に、大小不規則な形の棚田が約600枚ほど営まれとると伝えられ、規模の大きさは資料によって少しずつ数字が異なるようどすが、いずれにしても山里いっぱいに田んぼが連なる、見応えのある景観どす。

 棚田はY字型の谷筋に沿って、幅およそ200メートルほどの範囲に広がり、標高100〜200メートルほどの高さに位置しとるようどす。傾斜は10分の1程度と比較的ゆるやかで、田んぼのあいだを縫うように5本の散策道が通り、展望台や大岩神社も設けられとります。田植えの頃には水を張った田が空の色を映し、実りの季節には黄金色の稲穂が斜面いっぱいに波打つ、そんな四季の表情が楽しめる場所どすえ。

🏛 「毛原百石」と呼ばれた里の記憶

 この集落がいつ頃から拓かれたか、はっきりしたことは分かっとらんのどすが、奈良時代から鎌倉時代にかけての中世の頃から、少しずつ棚田が形づくられてきたと考えられとります。かつては「毛原百石」と呼ばれるほど良質な米がとれる土地やったそうどすが、1960年代の減反政策の影響で、山の上のほうから耕作をやめる田んぼが増えていったと伝わっとります。

 それでも人の手が入り続けた田んぼは、山の斜面に沿って曲線を描きながら今も残り、まっすぐな畦道ではなく、地形なりに曲がりくねった水路や畦が、かえって柔らかな美しさを生んどるんどすえ。石を積んだ田の縁に、朝もやがゆっくりと流れていく様子を思い浮かべるだけで、ここまでの道のりが少し楽になる気がしますなあ。

🤝 棚田オーナー制度と体験ツアーが紡ぐ「今」

 毛原ではこの景観を守るため、早くから保全の取り組みが続けられてきましたんどす。1996年には「ふるさと水と土保全モデル事業」が導入され、1997年からは棚田の農業体験ツアーが始まり、1998年には放棄田の活用も兼ねた「棚田オーナー制度」がスタートしたと伝えられとります。田植えや稲刈りの体験会は、今も親子連れなどが参加する形で続いとるようどすえ。

 こうした取り組みもあってか、2008年には京都府の文化的景観・景観資産に、2015年には環境省の「生物多様性保全上重要な里地里山」に、2022年には「つなぐ棚田遺産」にと、毛原の棚田はいくつもの形で評価を重ねてきましたんどす。世帯数はわずか13ほどという小さな集落どすが、近年は移住してくる家族もあるそうで、棚田オーナーや旅人との交流が、集落に新しい風を運んどるように感じますなあ。

🛣 古道に残る地蔵と、山里の暮らし

 毛原には棚田だけやなく、古い街道の記憶も残っとります。かつての元普甲道沿いにある毛原峠には「袈裟切り地蔵」、集落の中には「化粧地蔵」と呼ばれるお地蔵さんが今も祀られとって、行き交う人々を見守ってきたそうどすえ。この一帯は丹後天橋立大江山国定公園の一部としても保全されとって、山と棚田と信仰が重なり合う、味わい深い景色を見せてくれますんどす。

 福知山駅からは車でおよそ30分、距離にして20キロほどの道のりどすが、山道を登るにつれて視界がひらけ、棚田の段々がふっと目の前に現れる瞬間は、何度訪ねても心が動くもんどす。集落にはコミュニティカフェもあって、田んぼを眺めながらひと息つく時間も用意されとります。

📍行っ得メモ

・福知山市大江町毛原、大江山の南麂にある山里の棚田どす
・福知山駅から車で約30分(約20キロ)ほどの道のりどす
・1999年(平成11年)に「日本の棚田百選」へ選定されましたんどす
・田植え・稲刈り体験会や棚田オーナー制度もあるので、参加や訪問の際は福知山市や現地団体の最新情報を事前に確認してもらうのが安心どすえ

 規模の細かい数字は資料によって表現が揺れるところもありますが、大小合わせて数百枚という田んぼが、代々の手仕事で守られてきたことだけは間違いおへん。派手さはのうても、こういう景色があるさかい、この土地の米も、水も、お酒も豊かなんやと、あらためて思わされますなあ。

 そんな毛原の棚田に思いを馳せながら、今宵は純米大吟醸「YUTAKA(豊)」を、ぬる燗ほどのやわらかな温度で、ぽってりとした陶器の盃にいただきますんどす。棚田の水がゆっくり土に染みていくような、じんわりと丸みのある口当たりが広がり、山里の静けさと重なるように、喉の奥へすっと落ちていく味わいどすえ。

ほな、また次回のお楽しみに。

これからもどうぞよろしくお願いします。

大吟醸KYOTO YUTAKAを見る/購入する

FAQ
Q. 毛原の棚田はどこにありますか?
A. 京都府福知山市大江町毛原、大江山の南麓に位置する集落どすえ。福知山駅から車で約30分(約20キロ)ほどの山あいにあり、丹後天橋立大江山国定公園の一部としても保全されている棚田景観どすえ。

Q. 日本の棚田百選にはいつ選ばれましたか?
A. 1999年(平成11年)7月、農林水産省によって「日本の棚田百選」に選ばれたんどす。大小約600枚ともいわれる棚田が急な斜面に広がり、Y字型の谷筋に沿って美しい耕地景観をつくっとるんどすえ。

Q. 見学や田植え体験はできますか?
A. 棚田オーナー制度や田植え・稲刈りの体験会、農業体験ツアーなどが行われてきたと伝えられとるんどす。時期や参加方法は年により変わるさかい、訪れる前に福知山市や現地団体の最新情報を確認してもらうのが安心どすえ。

Q. 棚田以外の見どころはありますか?
A. 古い街道・元普甲道沿いの毛原峠には「袈裟切り地蔵」、集落内には「化粧地蔵」と呼ばれるお地蔵さんが残っとります。コミュニティカフェもあり、棚田を眺めながら里山の暮らしと歴史をゆっくり感じつつ過ごせる、そんな小さな集落どすえ。

0件のコメント
ブログに戻る

コメントを残す

コメントは公開前に承認される必要があることにご注意ください。