海の京都物語 第195話 室町の世から今に立つ多宝塔と、三度くぐれば智慧を授かるという知恵の輪灯籠、智恩寺の建築を訪ねたお話どす|日本酒YUTAKA(豊)
海の京都物語も第195話まで来ましたんえ。宮津の智恩寺いうたら、以前に「三人寄れば文殊の知恵」いうことわざの由来や、名物・智恵の餅のお話をさせてもろたことがありますやろ。今日はその智恩寺の、建物そのものにぐっと近づいてみとうなりましてん。
文殊堂を囲むように立つ多宝塔、山門、鐘楼門、そして知恵の輪灯籠。どれも長い年月を潜り抜けてきた、れっきとした文化財どすねん。ことわざの陰に隠れがちなその建築の凄みを、今回はじっくりご紹介させてもらいますえ。
🏯 室町の世から今も立つ、国指定重要文化財の多宝塔
智恩寺の多宝塔は、明応9年(1500年)に着工され、翌年に落成したと伝わっとります。丹後地方に残る唯一の室町時代の塔建築で、明治37年(1904年)に国の重要文化財に指定されたんどす。三間多宝塔でこけら葺、中央には大日如来さんが安置されとります。
国宝・雪舟筆「天橋立図」にもこの塔らしき姿が描かれとって、絵と実物を見比べる楽しみもあるそうどす。参道の松林の間から見上げる多宝塔は、五百年余りの時を積み重ねた木肌の色合いが、なんとも静かで奥ゆかしいんどすわ。
⛩️ 山門「黄金閣」、天皇から賜った黄金の名
三門は江戸時代の明和4年(1767年)に上棟された、三間三戸の二重門どす。建立にあたって後桜町天皇から黄金を賜ったことにちなんで「黄金閣」と呼ばれるようになったんやそうえ。丹後地方でも最大級の規模を誇る山門やと伝わっとります。
くぐるときにふと見上げると、丹後の宮大工はんが腕によりをかけた組物の細やかさに目が留まりますねん。「黄金」いう名前の由来を知ってから改めて眺めると、金色やのうても、ちゃんと格式の重みが伝わってくるような気がしますえ。
🔔 鐘楼門「暁雲閣」にも江戸の技が息づく
境内には江戸時代の享保7年(1722年)に建てられた鐘楼門「暁雲閣」もありますねん。鐘楼と門の役割を兼ね備えたこの建物も、多宝塔や山門と並んで智恩寺の歴史を静かに物語る一角どす。
朝夕に響く鐘の音を想像しながら見上げると、江戸の職人はんの技と、参拝に訪れた人々の祈りの重なりが、なんや目の前によみがえってくるような気ぃがしますわ。
💫 三度くぐれば智慧を授かる、知恵の輪灯籠
境内の観光船乗り場近くに立つ石灯籠は、江戸時代に建てられたもので、もともとは航海安全を願って据えられたと伝わっとります。その輪の部分を三度くぐると、文殊菩薩の智慧を授かるという言い伝えがあって、今も参拝の方が並んではりますえ。
建物としての由緒はもちろんどすけど、こうして体でくぐって縁を結ぶいう楽しみ方があるんも、智恩寺らしいところどすなあ。
📍行っ得メモ
・所在地:京都府宮津市字文珠466
・アクセス:京都丹後鉄道「天橋立駅」から徒歩約5分
・車の場合:京都縦貫自動車道「宮津天橋立IC」から約10分
・駐車場:普通車100台(1日700円、営業時間8:00〜17:00、季節により変動あり)
・お問い合わせ:0772-22-2553
ことわざだけやのうて、こうして建物の由来を一つ一つ辿ってみると、智恩寺いうお寺の奥深さがようわかりましたんえ。次に天橋立を訪れはるときは、多宝塔や黄金閣にもぜひ目を留めてみとくれやす。
そんな建築散策のあとには、常温でゆっくりいただく純米大吟醸YUTAKAが、ようお似合いどす。小ぶりのお猪口にとくとくと注いで、ひと口含むと、米の旨みがすっと舌の上に広がっていきますねん。多宝塔の木肌のような、時を重ねた落ち着いた味わいが、歴史散策の余韻をそっと引き立ててくれますえ。
ほな、また次回のお楽しみに。
これからもどうぞよろしくお願いします。
FAQ
Q. 智恩寺の多宝塔はいつ建てられたん?
A. 室町時代後期、明応9年(1500年)に着工し、翌年に落成したと伝わっとります。丹後地方に残る唯一の室町時代の塔建築で、1904年に国の重要文化財に指定されたんどす。中には大日如来さんが安置されとりますえ。
Q. 山門はなんで「黄金閣」て呼ばれるん?
A. 江戸時代、明和4年(1767年)に建てられた山門で、建立にあたって後桜町天皇から黄金を賜ったことが名前の由来やそうどす。三間三戸の二重門で、丹後地方でも最大級の規模を誇っとりますえ。
Q. 知恵の輪灯籠はどんな言い伝えがあるん?
A. 江戸時代に建てられた石灯籠で、もとは航海安全を願って据えられたと伝わっとります。輪の部分を三度くぐると文殊菩薩の智慧を授かるという言い伝えがあって、観光船乗り場の近くに今も立っとりますえ。
Q. 智恩寺を訪ねたあとの一杯にはどんなお酒が合うん?
A. 室町から続く建築の重みに触れたあとやったら、常温でゆっくり味わう純米大吟醸YUTAKAがようお似合いどす。お猪口でひと口含むと、米の旨みがすっと広がって、歴史散策の余韻をそっと引き立ててくれますえ。
京都 丹後