海の京都物語 第232話 都会から志賀郷の里山へ移り住んだ家族が育てる、二年熟成の生きた醤油をおにぎりで味わう話どすえ|日本酒YUTAKA(豊)
海の京都物語もいよいよ第232話どす。これまで綾部市では、グンゼの繭蔵やら大本さんの神苑、黒谷和紙の里や九鬼氏の陣屋跡、由良川の万灯流しに丹波栗と、山と里の恵みをあれこれ訪ねてまいりました。今日は少し趣向を変えて、綾部の台所にそっと灯る「発酵」の物語をお届けしますえ。
舞台は綾部市の西、志賀郷(しがさと)の里山どす。稲穂が実って、そろそろ稲刈りの声が聞こえてきそうな初秋の集落に、都会からIターンで移り住んだ家族が営む小さな醤油蔵があるんどす。その名も「今しぼり」、搾りたての醤油をその場で味わうという、ちょっと変わった醤油屋さんどすえ。
🌾志賀郷に根を張ったIターン家族の醤油蔵
今しぼりは2017年、都会暮らしをしてきた家族が志賀郷に移り住んで立ち上げはった会社どす。豊かな里山の自然と、集落に流れる穏やかな時間の中で生きることを決意しての船出やったと伝わります。
周りを見渡せば、志賀郷はIターン移住者が多い地域としても知られとって、都会から来た人らが新しい暮らしを重ねてきた土地柄どす。田んぼの畦道を歩きながら、醤油という一滴に人生を賭けはった家族の物語に、ふと胸が熱うなりますなあ。
🍶麹室で72時間、樽で二年、古式天然醸造の技
今しぼりの醤油づくりは、国産の有機小麦と大豆、そして瀬戸内の粗塩だけを使う「古式天然醸造」どす。小麦を煎って粗く挽き、蒸した大豆に麹菌を混ぜて麹室で72時間発酵させ、醤油麹をこしらえるところから始まりますんや。
ふつうなら半年ほどで仕上がる醤油やそうどすけど、今しぼりでは樽でじっくり二年もの熟成期間を設けてはります。化学添加物はいっさい使わず、粗塩と水だけを加えて自然の力にまかせる、手間ひまかけた仕事どすなあ。
初秋の志賀郷、稲の香りが漂う蔵の奥で、静かに時を重ねる樽の列を思い浮かべると、こっちまで背筋がしゃんとするような心持ちになりますえ。
🫙生きてる醤油、食べる醤油、育てる醤油という発想
「生きてる醤油」は、低温殺菌をせんと酵母が生きたまま詰められた限定品どす。「今しぼり醤油」はできたての醤油を、搾る前のもろみと一緒に瓶詰めして、卓上の搾り器で一番搾りを楽しむ趣向どすし、「食べる醤油」はもろみを圧搾オイルと綾部産のニンニクや山椒、唐辛子と合わせた万能調味料どす。
極めつけは「育てる醤油キット」、熟成の長さを負担やのうて、自分で育てる楽しみに変えてしまう逆転の発想どす。待つ時間そのものを味わいに変えてしまう、ほんまに粋なアイデアどすなあ。
🍙搾りたてを味わう、生きた醤油のワークショップ
今しぼりでは「生きた醤油を搾るワークショップ」も開かれとります。約1時間半のプログラムで、醤油の櫂入れ見学や香りの体験、製造にまつわるお話を聞いたあと、自分で搾った醤油であやべ志賀郷産のお米のおにぎりと豆腐をいただけるんどす。
料金は1名3,000円、定員5〜15名で、平日9時から12時の電話予約(0773-21-6831)で調整してもらえるそうどす。搾りたての一滴が舌に触れる瞬間を、里山の空気ごと味わえる贅沢などすえ。
📍行っ得メモ
・所在地: 京都府綾部市篠田町小西5(今しぼり)
・体験: 「生きた醤油を搾るワークショップ」約1時間半・3,000円・定員5〜15名
・予約: 電話0773-21-6831(平日9時〜12時)
・見頃: 稲刈り前の初秋、里山の田園風景とともに
・関連情報: 綾部市観光ガイド公式サイトに掲載
樽の中でじっと時を待つ醤油ともろみ、そして志賀郷に根を下ろした家族の暮らし。同じように待つことでしか生まれへん味を、うちらの純米大吟醸YUTAKAも知っとります。二年の歳月をかけて醸される一滴には、急いては手に入らへん豊かさがあるんやなあと、しみじみ思うたひとときどした。
今しぼりの「生きてる醤油」で炙ったおむすびのお焦げに、常温からぬる燗ほどに整えたYUTAKAをすっと合わせてみておくれやす。ぐい呑みに注げば、麹の甘い香りと醤油の焦げた旨みが立ちのぼって、米と大豆、二つの発酵がひとつになったような、じんわり沁みる味わいに出会えますえ。
ほな、また次回のお楽しみに。
これからもどうぞよろしくお願いします。
FAQ
Q. 今しぼりはどこにありますか?
A. 今しぼりは京都府綾部市篠田町小西5にある醤油蔵どす。志賀郷の里山にあって、駐車場も備わっとります。都会からIターンで移り住んだ家族が2017年に立ち上げ、古式天然醸造にこだわって醤油を仕込んではります。
Q. ワークショップの料金と定員は?
A. 「生きた醤油を搾るワークショップ」は1名3,000円、定員は5〜15名どす。約1時間半のプログラムで、醤油の櫂入れ見学や香りの体験のあと、自分で搾った醤油であやべ志賀郷産のお米のおにぎりと豆腐を味わえます。予約は電話0773-21-6831、平日9時〜12時の受付どすえ。
Q. 醤油の熟成期間はどれくらい?
A. 今しぼりの醤油は、ふつう半年ほどで仕上がるところを樽でじっくり二年もの熟成期間をとってはります。国産の有機小麦と大豆、瀬戸内の粗塩だけを使い、化学添加物はいっさい使わん古式天然醸造どす。麹室では72時間発酵させて醤油麹をつくるところから、丁寧に仕込まれとります。
Q. YUTAKAとの美味しい飲み方は?
A. 生きてる醤油で炙ったおむすびのお焦げに、常温からぬる燗ほどに整えたYUTAKAを合わせるのがおすすめどす。ぐい呑みに注げば、麹の甘い香りと醤油の焦げた旨みが立ちのぼり、米と大豆、二つの発酵がひとつに溶け合うような味わいに出会えますえ。
京都 丹後