海の京都物語 第249話 寒鰤育てる定置網、伊根の海の知恵どすなあ|日本酒YUTAKA(豊)
「海の京都物語」も第249話を数えましたなあ。舟屋の風景や漁師町の祭り、海にまつわる言い伝えをたどってきたこの連載どすが、今回は伊根の海の懐、冬の恵みにまつわる話をさせてもらいますえ。
伊根湾を訪れはったら、舟屋の美しさに目を奪われますけど、あの穏やかな海の底では、何百年も続く漁師の知恵と技が息づいてるんどす。今回は「定置網漁」と「寒鰤(ぶり)」にまつわる物語をお届けしますわ。
🐟日本三大ブリ漁場どすえ
伊根町は、富山県氷見市・長崎県五島列島と並んで「日本三大ブリ漁場」の一つに数えられてます。江戸時代の書物『日本山海名産図会』(1799年刊)には、すでに「伊根のブリは上品」と記されてるんどす。
伊根の海は急深で、水深は20メートルを超える場所も珍しくありません。冬場の水温は10℃ほどと、太平洋側に比べて低いのが特徴どす。この冷たい海で2年ほどかけてじっくり育つさかい、身の締まった美味しいブリになるんやそうどす。
舟屋の軒先から見下ろす伊根湾は、冬になると一段と静かで澄んだ色をしてますなあ。その水面の下で、寒さに耐えながら大きゅうなっていくブリの姿を思うと、何や愛おしい気持ちになりますえ。
🕸️定置網の歴史と仕組みどす
定置網漁は天正年間(1573〜92年)に富山湾の氷見で始まり、伊根には慶安年間(1648〜51年)頃に伝わったと言われてます。垣網で魚の進む向きを変え、運動場・登網を経て箱網、そして落とし網へと誘う仕組みで、伊根では箱網を二つ設ける「2重落とし」が主流どす。
今では3つの経営体が、合わせて8ケ統の大型定置網を伊根の沖に敷いてはります。令和4年度の漁獲量はイワシ類に次いでブリ類が2位どしたが、金額では堂々の1位。伊根の海にとって、ブリがどれほど大事な恵みか分かりますなあ。
朝まだき、本船と運搬船の二隻が息を合わせて網を引き揚げる光景は、何べん見ても胸が熱うなります。機械の音と男たちの掛け声が重なる瞬間、伊根の海が一番活き活きして見えますえ。
🍲ブリしゃぶ、冬のご馳走どす
11月中旬から3月下旬にかけて、伊根沖で獲れる脂ののった寒ブリを薄う切って、昆布だしにくぐらせる「ブリしゃぶ」が、宮津・伊根の冬の名物として親しまれてます。ポン酢やごまだれでいただくその味わいは、まさに絶品どす。
湯気の向こうでほんのりピンク色に染まるブリの身を箸でつまむ瞬間、海の恵みをそのままいただいとる気ぃがしますなあ。冷たい海を生き抜いたブリやからこそ、こんなにも甘みが深いんやと思いますえ。
📍行っ得メモ
・ブリしゃぶは11月中旬〜3月下旬が旬どす
・お問い合わせは伊根町観光協会(0772-32-0277)へどうぞ
・伊根湾の定置網漁は冬場が最盛期どす
何百年も変わらん海の恵みと、それを受け継いできた漁師さんたちの知恵。伊根の冬は、静かやけど力強い営みに満ちてますなあ。
そないな寒ブリの脂をしっかり受け止めてくれるんが、純米大吟醸YUTAKAどす。ぬる燗にして、ぽってりとした盃でいただくと、米の旨みとブリの脂がすっと寄り添うて、口の中にほんのり余韻が広がりますえ。冷たい海で鍛えられた魚と、丁寧に醸された一献。どちらも、時をかけてこそ深まる味わいどすなあ。
ほな、また次回のお楽しみに。
これからもどうぞよろしくお願いします。
FAQ
Q. 伊根は「日本三大ブリ漁場」て本当どすか?
A. はい、本当どす。伊根町は富山県氷見市・長崎県五島列島と並んで日本三大ブリ漁場の一つに数えられており、江戸時代の書物『日本山海名産図会』(1799年刊)にも「伊根のブリは上品」と記されてるんどすえ。冷たい海で2年ほどかけてじっくり育つさかい、身の締まった美味しいブリになるんどす。
Q. 定置網漁はいつから伊根にあるんどすか?
A. 定置網漁は天正年間(1573〜92年)に富山湾の氷見で始まり、伊根には慶安年間(1648〜51年)頃に伝わったと言われてます。垣網・箱網・落とし網を組み合わせた仕組みで、伊根では箱網を二つ設ける「2重落とし」が主流として今も受け継がれてますえ。
Q. ブリしゃぶはいつ頃食べられますか?
A. 11月中旬から3月下旬にかけてが旬どす。伊根沖で獲れる脂ののった寒ブリを薄う切って昆布だしにくぐらせ、ポン酢やごまだれでいただく冬の名物料理どす。予約が必要な店が多いさかい、伊根町観光協会に事前に問い合わせてから訪ねてみてくださいね。
Q. ブリ料理にはどんな日本酒が合いますか?
A. 脂ののった寒ブリには、米の旨みがしっかりした純米大吟醸YUTAKAがよう合いますえ。ぬる燗にしてぽってりとした盃でいただくと、ブリの脂と酒の旨みがすっと寄り添うて、深い余韻が広がります。冷たい海で鍛えられた魚と、丁寧に醸された一献、どちらもじっくり味わってほしいどす。
京都 丹後