海の京都物語 第264話 福知山駅のすぐ南に眠っとった、あるはずのない「景初四年」の鏡が語る千七百年前の謎どすえ|日本酒YUTAKA(豊)

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 海の京都物語も第264話を数え、これまで福知山市のあちらこちらから、さまざまな物語をお届けしてまいりました。

 今回ご案内するのは、福知山駅のすぐ南にあった古墳から見つかった、一枚の銅鏡のお話どす。そこに刻まれた年号が、実は歴史書のどこにも存在しない「幻の年」やったんどすえ。

⛩️福知山盆地を見渡す丘に眠っていた前方後円墳

 広峯15号墳は、福知山盆地の中央にあった丘陵上に築かれた前方後円墳で、全長約四十メートル、後円部の直径は約二十五メートルを測ります。古墳時代の初め頃の築造とされ、昭和六十一年(一九八六)に福知山市教育委員会によって発掘調査が行われました。

 木棺を直接土に埋めた形式で、棺の中は二つに仕切られ、内側には朱(しゅ)が塗られていたことも分かっとります。副室からは碧玉(へきぎょく)の管玉二箇、鉄剣、鉄槍、鉄斧、鉄釶(てつやりがんな)といった武器や工具が一括で出土し、平成二年(一九九〇)六月二十九日に国の重要文化財に指定されました。

🪞直径十六・八センチ、「景初四年」と刻まれた盤龍鏡

 出土品の中でもひときわ注目されるのが、直径十六・八センチの銅製「盤龍鏡(ばんりゅうきょう)」どす。鏡の背面には三十五文字の銘文が刻まれており、そこに記された年号が「景初四年五月丙午の日」。

 せやけど、この「景初四年」という年は、中国・魏の正史のどこにも存在しまへん。卑弥呼が魏に使いを送ったとされる景初三年の翌年には、本来なら改元されて「正始元年」となるはずやったからどす。日本国内で見つかっている同じ「景初四年」銘の鏡は、全国でもごくわずか。なぜ実在しない年号が選ばれたのか、鏡が中国製か国産かをめぐる論争とも絡み、今も研究者の間で議論が続いとります。

📚丘の上の古墳から、城下町の資料館へ

 この貴重な出土品は現在、福知山市教育委員会が保管しており、福知山城天守閣内に設けられた福知山市郷土資料館で、古代から近代にかけての福知山ゆかりの歴史資料とともに紹介されています。

 お城の急な石段を上りながら、かつて駅の南の丘に眠っていた鏡のことを思うと、同じ盆地の中で時代を超えてつながる歴史の重みを感じます。千七百年前、丙午の日に誰かが鋳込んだであろう一文字一文字が、今もなお謎を語りかけてくるようどすなあ。

📍行っ得メモ

・広峯15号墳出土品の展示:福知山市郷土資料館(福知山城天守閣内、京都府福知山市字内記5番地) ・開館時間:午前9時〜午後5時(入館は午後4時30分まで) ・休館日:年末年始(12月28日〜12月31日、1月4日〜1月6日) ・入館料:大人360円、小中学生110円(要確認・別資料では大人330円との記載もあり) ・アクセス:JR福知山駅から徒歩約15分、または京都交通バスで福知山城公園前まで約5分

 実在しない年号を刻んだ鏡が、千七百年もの間ひっそりと丘の下で眠っていたと思うと、歴史というのはほんまに奥深いもんどすなあ。福知山の町を歩くたび、地面の下にまだ見ぬ物語が眠っているような気がしてなりません。

 そんな夜は、盃を少し小ぶりの陶器に替えて、常温でYUTAKAをいただくのがようございます。古代の鏡のように静かで澄んだ飲み口が、口に含むとふわりと米の旨みを広げ、丙午の日に鏡を鋳た職人の手仕事にも似た、丁寧な余韻を残してくれますのや。

ほな、また次回のお楽しみに。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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FAQ
Q. 広峯15号墳はどこにあったんどすか?
A. 福知山盆地の中央、現在のJR福知山駅南側にあった丘陵上に築かれた前方後円墳どす。全長約四十メートル、古墳時代初め頃の築造とされ、昭和六十一年(一九八六)に福知山市教育委員会により発掘調査が行われました。

Q. 「景初四年」の鏡とはどんな謎がおますか?
A. 鏡の銘文に刻まれた「景初四年」は、中国・魏の正史には存在しない年号どす。本来なら改元で「正始元年」となるはずの年にあたり、鏡が中国製か国産かをめぐる論争とも絡んで、今も研究者の間で議論が続いとります。

Q. 出土品は今どこで見られますか?
A. 出土品は福知山市教育委員会が保管しており、福知山城天守閣内の福知山市郷土資料館で、福知山にゆかりの他の歴史資料とともに展示が行われています。開館時間や休館日は季節により変わることもあるため、お出かけ前のご確認をおすすめします。

Q. 古代の鏡の物語とYUTAKAはどう合いますか?
A. 千七百年前の鏡の静けさと謎めいた余韻には、常温でいただくYUTAKAの澄んだ味わいがよう合います。小ぶりの酒器にそっと注いで、ゆっくりと歴史に思いを馳せながら傾けていただくのがおすすめどす。

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