海の京都物語 第296話 戦国の嵐を越えて明智光秀が眠る寺どす。宮津・喜多の盛林寺に残る細川家ゆかりの物語を訪ねましたえ|日本酒YUTAKA(豊)
海の京都物語もいよいよ第296話を迎えましたんやけど、ここまで天橋立の白い砂浜や智恩寺の文殊堂、成相寺の撞かずの鐘、元伊勢籠神社の荘厳な佇まいと、宮津が誇る名だたる名所をめぐってまいりました。
せやけど宮津いうまちは、その奥がまだまだ深いんどす。今回は天橋立から少し山の方へ入った喜多地区にひっそりと建つ古刹・盛林寺(せいりんじ)を訪ねて、戦国の世に生きたある武将の悲しい物語をたどってみようと思いますえ。
🏯 上宮津城主の菩提寺として生まれた寺
盛林寺は1577年、上宮津城の城主の菩提寺(檀那寺)として建てられたと伝わる古いお寺どす。1580年には細川家がこの地域の支配権を得て、以来盛林寺は細川家と深い結びつきを持つようになったんどす。
山あいの集落に静かに建つ本堂を思い浮かべますと、戦国の世の慌ただしさとは裏腹に、ここだけはゆっくりと時が流れてきたんやないかと感じますのや。
⚔️ 明智光秀、その首は宮津へ運ばれた
光秀の娘玉子(のちの細川ガラシャ)は、本能寺の変よりも前に細川忠興のもとへ嫁いでいたため、細川家は信長への忠義を貫きながらも、光秀の供養を引き受けるという複雑な立場に置かれたと伝わりますのや。
本能寺の変の後、討たれた光秀の首は宮津まで運ばれ、盛林寺の墓地に埋葬されたという言い伝えが残っておりますんどす。勝者も敗者もない、ただ弔いの心だけがこの山裾に静かに残されたような、そんな気がしてきますえ。
⛩️ 二度の移転を経て、今も山の中腹に
盛林寺は創建以来二度の移転を経て、1685年に現在の山の中腹の地に落ち着いたと伝わります。それ以降は大きな改変もなく、小規模な修復にとどめながら、当時の姿をほぼそのまま今に伝えているんどす。
本堂には三尊の仏像と、開山の僧侶の像が静かに安置されてますんどす。石段を踏みしめて山門をくぐるたび、四百年あまりの歳月の重みがじんわりと伝わってくるような気がしますえ。
🌸 涅槃図と庭園、知る人ぞ知る見どころ
盛林寺には室町時代に描かれた涅槃図(絹本)が伝わっており、毎年2月にその姿を公開しているそうどす。山門は二階建てで鐘楼を兼ねており、石段を上りきったところに構えてますんどす。
庭園には珍しい形の岩からこんこんと湧き出る天然の泉があり、錦鯉が泳ぐ池と緑豊かな植栽が、訪れる人の心をふっと静めてくれますのや。秋の陽射しが石段の苔にやわらかく落ちる頃、この寺の時間はいっそう深まるように思いますえ。
📍行っ得メモ
・所在地は京都府宮津市喜多696、天橋立エリアから少し山手へ入った静かな集落にある古刹どす
・拝観時間や駐車場の詳細情報は公開情報からは確認できず、訪れる際は事前のお問い合わせをおすすめします(要確認)
・室町時代の涅槃図は毎年2月に公開されるそうなので、冬の旅の目的地としても心に留めておきたいお寺どす
天橋立や籠神社の華やかさとはまた違うて、盛林寺には戦国の世の悲哀と、それを弔い続けてきた人々の静かな祈りが息づいてますのや。宮津いうまちの奥行きを、またひとつ知ることができた気がしますえ。
そんな盛林寺の石段を思い浮かべながら、純米大吟醸YUTAKAはぬる燗よりやや低めの温度で、ぐい呑みにそっと注いでみとうなります。口に含むと、まず米の旨みがふわりと広がり、すっと引いていく余韻に一筋の静けさが残るんどす。四百年の歳月を越えて語り継がれる弔いの物語を肴に、ひと口ずついただくうちに、戦国の悲しみも静かに溶けていくような、そんな味わいどす。
ほな、また次回のお楽しみに。
これからもどうぞよろしくお願いします。
FAQ
Q. 盛林寺はどこにあるお寺どすか?
A. 盛林寺は京都府宮津市喜多696にある古刹どす。天橋立の中心部から少し山手へ入った静かな集落にあり、1577年に上宮津城主の菩提寺として建てられたと伝わる歴史あるお寺どす。拝観時間や駐車場などの詳細は事前にご確認いただくのが安心どすえ。
Q. 明智光秀とどんな関係どすか?
A. 盛林寺は細川家と深い結びつきがあり、光秀の娘がのちの細川ガラシャとして細川家に嫁いでいた縁から、本能寺の変で討たれた明智光秀の供養を引き受けたと伝わります。光秀の首は宮津まで運ばれ、寺の墓地に埋葬されたという言い伝えが残っておりますんどす。
Q. 涅槃図はいつ見られますか?
A. 盛林寺に伝わる室町時代の涅槃図(絹本)は、毎年2月に公開されると伝わっております。普段は静かな山寺どすが、冬のこの時期だけは古い絵画を目当てに訪れる方もいるそうどす。詳しい日程は事前に問い合わせて確認するのが安心どすえ。
Q. 純米大吟醸YUTAKAとどう合わせたらええどすか?
A. 戦国の世を偲ぶしっとりとした物語には、ぬる燗よりやや低めの温度のYUTAKAをぐい呑みでゆっくり味わうのがおすすめどす。米の旨みがふわりと広がり、すっと静かに引いていく余韻が、山寺の石段を歩いた後の落ち着いた気持ちによう合いますえ。
京都 丹後