海の京都物語 第348話 母を訪ねる道すがら滝川渡った蕪村はんの「夏河を越す」句、与謝の里と施薬寺にひっそり息づくんどす|日本酒YUTAKA(豊)
海の京都物語も、おかげさんで第348話を数えますんどす。綾部・福知山・宮津・伊根・京丹後・舞鶴、そして与謝野町のちりめんや古墳、お社まで、ぎょうさんの実在スポットをご紹介してきましたなぁ。
今日は与謝野町の中でも「与謝」と「滝」いう、町の名前の由来にも関わる二つの集落のお話どす。実は江戸時代の俳人・与謝蕪村はんが、俳号に「与謝」の字を選ばはったんは、お母はんの故郷がこの地やったからやと伝わっとるんどすえ。
🌾母げんはんの故郷「与謝」
与謝蕪村はんは享保元年(1716年)の生まれとされとりますが、お母はんの「げん」はんは丹後・与謝郡の出、つまり今の与謝野町与謝地区の出身やったという言い伝えが残っとるんどす。
与謝地区は野田川沿いに広がるのどかな田園地帯で、その野田川はそのまま阿蘇海へと注いどります。蕪村はんはここを「母の里」として大事にしてはったんやろなぁと、地元では語り継がれてますんどすえ。
今も野田川のほとりに立つと、蕪村はんが見たであろう穏やかな流れと田んぼの景色が広がっとって、江戸期の面影をそっと感じさせてくれますんどす。
📜施薬寺で書画を学んだ少年時代
与謝の隣、滝村(今の与謝野町滝)には施薬寺というお寺があって、幼い蕪村はんはここに預けられ、ご住職から書や画の手ほどきを受けはったと伝わっとります。
施薬寺には、蕪村はん初期の傑作とされる『方士求不死薬図屏風』が伝わっとるそうで、後に江戸で俳諧と絵を究めはった蕪村はんの原点が、この丹後の山寺にあったんかもしれませんなぁ。
施薬寺の前を流れる滝川は、母げんはんが生まれたとされる「二ツ岩」とは、谷ひとつ隔てた場所にあるんやそうどす。お寺は今も地域で大切に守られとって、観光地として常時公開されとるわけやおへん。
🌿「夏河を越す」の句が生まれた道
蕪村はんの代表句のひとつ「夏河を越すうれしさよ手に草履」は、母の故郷を訪ねる道中、施薬寺へ向かいながら滝川を渡ったときに詠まはった句や、という説が伝わっとるんどす。
草履を手に、裸足で夏の川を渡る開放感。その情景が丹後のこの滝川やったかもしれへんと思うと、何気ない一句がぐっと身近に感じられますなぁ。
与謝野町では今も「与謝蕪村顕彰与謝野町俳句大会」が毎年開かれとって、全国から寄せられた俳句が、ちりめん街道にほど近い与謝野町立江山文庫に届けられとるんどすえ。
📍行っ得メモ
・与謝地区・滝地区は京都丹後鉄道「与謝野駅」から野田川沿いに広がる、のどかな田園エリアどす
・施薬寺は地域で大切に守られとるお寺どすので、拝観の際は事前に町の観光窓口等でご確認を
・「与謝蕪村顕彰与謝野町俳句大会」の応募窓口は、ちりめん街道近くの与謝野町立江山文庫どす(開催状況は年により要確認)
・野田川沿いをのんびり歩くと、蕪村はんが見たやもしれへん景色に出会えますえ
お母はんを思う気持ちが、三百年近い時を超えて一句の中に残っとる。そない思うと、与謝野町の田んぼ道も、ちょっと違う表情に見えてきますんどすなぁ。
そんな夜は、ぬる燗にした純米大吟醸YUTAKAを、ガラスの盃でちびりとやりとうなります。米の旨みがすっと喉を通ったあと、ふわりと残る甘やかな余韻が、母を思う蕪村はんの句の優しさと、どこか重なる気がするんどすえ。
ほな、また次回のお楽しみに。
これからもどうぞよろしくお願いします。
FAQ
Q. 与謝野町と与謝蕪村の関係って何どす?
A. 江戸時代の俳人・与謝蕪村はんのお母はん「げん」が、丹後・与謝郡(今の与謝野町与謝地区)の出身やったという言い伝えが残っとるんどす。蕪村はんが俳号に「与謝」を用いたんは、この母の故郷にちなんだからやと伝えられとりますが、史料が少なく詳しい経緯は定かやないため、あくまで地域の伝承としてお楽しみくださいどす。
Q. 施薬寺は誰でも見学できますんどす?
A. 施薬寺は与謝野町滝地区にある地域のお寺で、観光施設として常時公開されとるわけやおへん。蕪村はん幼少期に書画を学んだと伝わる由緒あるお寺どすので、訪ねる際は事前に地域や町の観光窓口へ確認してから、静かにお参りすることをおすすめしますえ。
Q. 「夏河を越す」はどんな句どす?
A. 「夏河を越すうれしさよ手に草履」という蕪村はんの代表句のひとつどす。草履を手に持ち、裸足で夏の川を渡る開放感を詠んだ句で、母の故郷を訪ねる道中、与謝野町を流れる滝川を渡った際に生まれたという説が伝わっとるんどすえ。
Q. YUTAKAはどんな場面で楽しむのがええどす?
A. 母を思う蕪村はんの物語に浸りながらなら、ぬる燗にした純米大吟醸YUTAKAをガラスの盃でゆっくり味わうのがおすすめどす。米の旨みと穏やかな余韻が、与謝の里にまつわる静かな言い伝えの時間と、しっとり寄り添ってくれますんどすえ。
京都 丹後