海の京都物語 第353話 丹波富士と呼ばれる弥仙山、麓の水分さんから山頂の金峰さんまで祈り継がれてきた綾部の霊山どすえ|日本酒YUTAKA(豊)
海の京都物語、第353話は綾部市の自然景観探訪どす。これまで上林川の渓谷美や乙味渓流荘のニジマス釣り、あやべ温泉の湯けむりなど、綾部の水と緑にまつわる話をいろいろお届けしてきましたが、今回はちょっと目線を上げて、綾部のまちを見守る「山」に注目してみたいと思います。
綾部市於与岐町にそびえる弥仙山(みせんさん)、標高664m。地元では古くから「丹波富士」と呼ばれ親しまれてきた、ピラミッドのように整った美しい山容が特徴どす。麓から山頂まで、三つの社をたどりながら祈りを重ねる、信仰の山としての顔もあるんどすよ。
🗻 丹波富士言われる美しい三角形の山容
弥仙山は京都府のレッドデータブックの地形解説にも取り上げられており、地質学的には「残丘地形」、夜久野南帯の角閃岩と斑レイ岩からなる山やと記録されています。もともとは古生代の海の底にあった岩石やそうで、何億年という時の積み重ねが、今の綾部の空に突き出たピラミッド型の山容を作り上げたんどす。
綾部の市街地や周辺の集落から見上げると、周りの山々から一つだけぽつんと尖って見えるその姿は、地元の方々に古くから目印として親しまれてきました。四季折々に表情を変える山容は、春は新緑、秋は紅葉と、見るたびに違う顔を見せてくれるんどすよ。
⛩️ 水分神社から於成神社、祈りの参道をゆく
登山口近くには水分神社(通称・三十八社明神)が鎮座し、子授け・子育ての神さんとして地元の方に大切にされてきました。年季の入った社殿と狛犬が、長い歴史を物語っているんどす。そこから近畿自然歩道にもなっている約2.1kmの参道を登っていくと、中腹に於成神社(おなりじんじゃ)が現れます。
於成神社は、明治の初め頃までは女人禁制やったと伝えられており、長い石段の先に立つ朱色の鳥居や、社殿の脇にそびえる巨木がその歴史の重みを感じさせます。途中には「修行の滝」へ分かれる道もあり、この山全体が祈りと修行の場として大切にされてきたことがうかがえるんどす。
🧗 山頂の金峰神社、改心の道をのぼる修験の山
登山道は地元で「改心の道」と呼ばれており、苔むした石段や、しめ縄の掛かった大岩の磐座を横目に見ながら、山頂を目指します。たどり着く山頂には金峰神社(金峯神社)が祀られ、昔から修験の山として歩かれてきたと伝わっているんどす。
山頂近くには三等三角点(599.39m)もあり、杉木立に囲まれて見晴らしはそれほど良くはありませんが、木々の隙間からは大江山や君尾山、天気が良ければ若狭湾や丹後半島の山並みまで望めることがあるそうどす。約1,200年前、奈良時代の僧・行基がこの山を開いたという言い伝えも残っているそうですが、こちらは地域に伝わる話として受け止めていただけたらと思います。
🍁 近畿自然歩道と紅葉、四季を歩く山
弥仙山の登山道は近畿自然歩道の一部に組み込まれており、綾部の自然を手軽に楽しめるコースとしても知られています。駐車場から鳥居をくぐり、木橋を渡って登り始める道中は、川のせせらぎを聞きながら歩ける区間もあり、山全体が澄んだ空気に包まれているんどす。
特に秋の紅葉シーズンには、参道の木々が赤や黄に色づき、祈りの道がいっそう華やかな表情を見せてくれます。地元の方からは、静かに自分と向き合いながら登れる山として、今も変わらず大切にされているそうどす。
📍行っ得メモ
・弥仙山:標高664m、綾部市於与岐町にそびえる「丹波富士」
・登山口の水分神社から山頂の金峰神社まで約2.1km、近畿自然歩道の一部
・中腹の於成神社は明治初期まで女人禁制やったと伝わる古社
・山頂近くには修行の滝や三等三角点(599.39m)も
・紅葉シーズンは参道の彩りが見事、歩きやすい靴での訪問がおすすめ
綾部の町なかからふと顔を上げると、ぽつんと尖って見える弥仙山。普段は遠くから眺めるだけの山も、こうして一つひとつの社や言い伝えをたどってみると、綾部の人たちが長い年月をかけて大切に守ってきた祈りの山なんやなあと、しみじみ感じ入ってしまいました。登るほどに整っていく心と、山頂でふっと視界が開ける瞬間、そんな時間が今もこの山には残っているんどすね。
そんな弥仙山に思いを馳せながら、今宵はYUTAKAを冷やしてすっきりと。切子のグラスに注いだ純米大吟醸は、磨き抜かれた米の香りがふわりと立ちのぼり、口に含むとまるで澄んだ沢の水のように軽やかな口当たりが広がります。登りきった先にようやく開ける山頂の景色のように、後味にすっと伸びる余韻が心地よく、静かな祈りの山の空気を思い出させてくれるような一杯どす。
ほな、また次回のお楽しみに。
これからもどうぞよろしくお願いします。
FAQ
Q. 弥仙山はどこにありますか?
A. 弥仙山は京都府綾部市於与岐町にそびえる標高664mの山どす。地元では「丹波富士」と呼ばれるピラミッド型の美しい山容で知られ、近畿自然歩道の一部にもなっています。麓の水分神社から山頂の金峰神社まで、歴史ある社をたどりながら登ることができる、綾部を代表する信仰の山どす。
Q. 丹波富士と呼ばれる理由は?
A. 整った三角形の美しい山容が富士山を思わせることから、地元で古くから「丹波富士」と呼ばれ親しまれてきました。京都府の資料によると、地質学的には「残丘地形」とされ、夜久野南帯の角閃岩や斑レイ岩からなる、古生代の海の底の岩石が元になっていると記録されているんどす。
Q. 山頂の金峰神社とはどんな神社?
A. 弥仙山の山頂に鎮座する神社で、古くから修験の山として歩かれてきたと伝わります。登山道は地元で「改心の道」と呼ばれ、麓の水分神社から中腹の於成神社を経て、しめ縄の掛かった大岩の磐座などを横目に見ながら祈りを重ねて登る、信仰の道のりとなっているんどす。
Q. 弥仙山はいつ登るのがおすすめ?
A. 紅葉が色づく秋は、参道の木々が赤や黄に染まり、登る道中が一段と華やかになるためおすすめどす。近畿自然歩道の一部で足場も比較的整っていますが、山頂近くは急な登りや石段が続くため、歩きやすい靴と水分を準備して、無理のないペースで登るのがよろしいかと思います。
京都 丹後