海の京都物語 第364話 福知千軒の下柳町、虫籠窓が語る商家町どす|日本酒YUTAKA(豊)
海の京都物語、第364話は丹後路から少し足を延ばして、福知山のまちなかへご案内どす。これまで福知山城や由良川、大江山の鬼伝説など、丹波の奥座敷に伝わる物語をたどってきましたが、今回はお城の足元に広がる商家町の町並みを歩いてみとうなりましたんえ。
福知山の旧城下町には、今も江戸から明治・大正にかけての町家がぎょうさん残る一角がおます。その名も下柳町。地元では古くから「柳町」とも呼ばれてきたこの界隈は、かつて「福知千軒」と謳われた商家町のただ中にあったんどす。秋の澄んだ空気の中、虫籠窓(むしこまど)がのぞく町並みをゆっくり歩いてみまひょ。
🏯 明智光秀が拓いた城下町のかたち
福知山の城下町は、天正7年(1579年)に明智光秀が砦跡を改修して福智山城を築いたことに始まりますんえ。城の北から西にかけて武家屋敷が置かれ、東側の由良川堤防に向かって町人地が三角形に広がっていったんが、今の中心市街地の原型なんどす。
江戸時代には有馬豊氏が城主となって城下の整備がさらに進み、明治4年の廃藩置県まで約300年にわたって城下町として栄えましたんえ。町人地は京町や呉服町など15の町からなり、「福知千軒」と呼ばれるほど軒を連ねる賑わいやったそうどす。
🏮 下柳町(柳町)に息づく虫籠窓と出格子の町家
下柳町(柳町)一帯は、京街道・但馬街道が通り、由良川の舟運で栄えた商都の面影を色濃く残すエリアどす。2階の窓に設えられた虫籠窓と出格子を組み合わせた町家の意匠は、火災を防ぎながらも格式を見せる、当時の大工仕事の粋なんえ。
大正から昭和初期にかけては、旅館や料亭を中心に木造3階建ての建物も次々と建てられ、商家町は宿場町・花街としての顔も併せ持つようになったそうどす。今も通りを歩くと、間口の広い建物が軒を連ねる当時の町割りがそのまま感じられますんえ。
🏛️ 治水記念館と旧松村家住宅にみる商家の暮らし
下柳39にある治水記念館は、明治10年代に建てられたという築140年ほどの町家を改修した施設どす。屋根裏には水害の際に避難するための大きな空間が設けられ、荷物を上げ下ろしする滑車まで備わっとって、由良川と共に生きてきた商家の知恵が偲ばれますんえ。火曜・水曜が定休で、入館は無料どす。
近くには京都府指定文化財の旧松村家住宅もおます。明治後期から大正にかけて建てられた主屋に、本格的な洋館や撞球場、茶室まで備えた8棟からなる屋敷で、今は洋菓子店として生かされとるんえ。城下町の商家が、いかに豊かな暮らしを築いてきたかがようわかりますわ。
🍶 谷垣酒店の大戸と、今も生きる町家
下柳町には明治29年(1896年)創業の谷垣酒店もおます。今も使われとる「大戸(おおど)」は、シャッターの役目を果たす昔ながらの引き戸で、朝に開け夜に閉める商家の暮らしのリズムを、今に伝えとるんどす。
さらに下柳町21番地には、明治の町家をそのまま生かした店が今も営まれ、手前はカフェバー、奥には大人数で使える和室の個室があるそうどす。古い建物に新しい灯りがともり続けとるのも、この町並みの魅力なんえ。
📍行っ得メモ
・治水記念館:京都府福知山市下柳39、開館10:00〜17:00(火・水曜定休)、入館無料
・JR福知山駅から徒歩約20〜25分、福知山城からも徒歩圏内のまちなかどす
・下柳町・菱屋町一帯は虫籠窓や出格子の残る町家が点在し、秋はそぞろ歩きにぴったりどす
石垣や天守ばかりやのうて、お城の麓で商いに精を出した人々の暮らしぶりが、こないにちゃんと建物に刻まれとるとは思いませんでしたわ。虫籠窓越しに差し込む秋の夕陽を眺めながら歩くと、福知千軒の賑わいが聞こえてくるような気がしますんえ。
そんな商家町の情緒を肴に、今宵はYUTAKAをちいと冷やして、ガラスの盃でいただきとうなります。きりっと冷えた口当たりの奥に、米の旨みがすっと広がる味わいは、虫籠窓から漏れる灯りのように、静かで品のええ余韻を残してくれますんえ。
ほな、また次回のお楽しみに。
これからもどうぞよろしくお願いします。
FAQ
Q. 柳町(下柳町)とはどんな町どすか?
A. 正式には下柳町と呼ばれ、地元では古くから柳町とも親しまれてきた福知山城下町の一角どす。江戸時代には京街道・但馬街道が通り、由良川の舟運でも栄えた商家町「福知千軒」の中心のひとつで、今も虫籠窓や出格子を持つ町家が残っとります。
Q. 虫籠窓ってどんな窓どすか?
A. 虫籠窓(むしこまど)は、土蔵造りの町家の2階に設けられた格子状の小さな窓のことどす。火が燃え広がるのを防ぐ防火の工夫であると同時に、出格子と組み合わせて美しい意匠を見せる、商家町ならではの大工仕事の粋のひとつどす。
Q. 治水記念館では何が見られますか?
A. 治水記念館は、明治10年代に建てられたとされる築140年ほどの町家を改修した施設どす。屋根裏には水害の際に避難するための大きな空間や、荷物を上げ下ろしする滑車が残り、由良川と共に生きてきた商家の知恵を今に伝えとります。入館は無料どす。
Q. 下柳町へはどう行ったらよろしいどすか?
A. JR福知山駅から徒歩20〜25分ほどで、福知山城からも歩いて回れる距離どす。下柳町・菱屋町一帯には虫籠窓や出格子の残る町家が点在し、秋の澄んだ空気の中をそぞろ歩きするのにちょうどええ季節どす。
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