海の京都物語 第312話 綾部・本宮町にそっと佇む大本はんの梅松苑、出口なおはんの祈りと木の花庵の茅葺きが今に息づいとりますえ|日本酒YUTAKA(豊)
海の京都物語、第312話どす。綾部市を巡るこのシリーズも随分と話数を重ねて参りましたなあ。グンゼはんの記憶、バラ園、上林の水源、九鬼はんの陣屋町と、綾部の懐の深さをあちこち覗かせてもろてきましたけど、今日はいよいよ綾部いうたらここ、という場所へご案内しますんえ。
本宮町にどっしり構えてはる大本本部、通称「梅松苑」どす。宗教法人さんの本部施設やさかい、教えの中身にまでは踏み込みませんけど、建物の佇まいや開かはった方の史実、お庭の美しさだけでも、十分にうちらをうっとりさせてくれる場所どすのんえ。
🏯 出口なおはんと梅松苑のはじまり
大本の開祖とされる出口なおはんは、天保七年(一八三六年)のお生まれどす。嫁がはった先が綾部の大工・出口政五郎はんのお家で、明治二十五年(一八九二年)、なおはんの身に大きな出来事があって、そこから綾部を拠点に教団が興っていったんどすえ。
なおはんは大正七年(一九一八年)にこの世を去らはりましたけど、暮らしの苦労を重ねた末に教団の礎を築かはったお方として、今も本宮町の地に静かに語り継がれとります。難しい教えの話はさておき、ひとりの女性が時代を生き抜かはった歴史として、うちは素直に頭が下がる思いどした。
🪵 みろく殿と長生殿、二つの祈りの殿堂
境内でまず目に入るんが、昭和二十八年(一九五三年)に建てられたみろく殿どす。鉄骨に檜の意匠を重ねた大きな建物で、平成二十六年(二〇一四年)には国の登録有形文化財にもなってはります。隣には平成四年(一九九二年)に完成した長生殿が並び、木曽檜なんかを使うた大型の木造建築が、ずっしりとした存在感を放っとります。
長生殿の内部は事前申し込みで拝観でき、靴下の着用がお約束どす。広い畳敷きの空間に差し込む光が柱の影をすうっと伸ばして、木の香りと静けさに思わず背筋が伸びましたんえ。
🏚️ 木の花庵、移築された江戸の茅葺き民家
境内の奥には「木の花庵」いう茅葺きの古民家もあるんどす。江戸時代中期、十七世紀半ばに建てられた岡花家の母屋を、昭和四十六年(一九七一年)に移築し、翌昭和四十七年(一九七二年)には国の重要文化財に指定されましたんえ。
かまどのある土間、囲炉裏を囲む居間、養蚕にも使われたいう部屋まで残っとって、五日に一度は火が入れられ、今も大切に守られとります。内部の見学には予約が要るそうどすけど、茅葺き屋根の佇まいは外から眺めるだけでも、江戸の暮らしがふっと香ってくるようどした。
🍁 金竜海に映る紅葉
大正時代の初めに築かれたいう池、金竜海も見逃せまへん。十一月中旬から下旬にかけて、イロハモミジが赤う色づいて水面にくっきり映り込む様子は、午前十時から十二時頃が特に鮮やかなんやそうどす。
風のない朝、鏡みたいな水面に紅葉がそっと浮かんどる景色を眺めとったら、時間を忘れてしもて、気ぃついたら小一時間も池のほとりに座り込んどりましたんえ。
📍行っ得メモ
・住所:綾部市本宮町1-1(梅松苑)
・拝観:境内は拝観自由・無料、神殿内部の拝観や木の花庵の内部見学は事前予約が必要どす
・アクセス:JR綾部駅からあやバス「志賀南北線」で「大本本部前」下車すぐ(駅から約1.2km)
・お問い合わせ:0773-42-0187
・最新の拝観情報や行事予定は、お出かけ前に公式サイトでご確認を
教えの中身には踏み込めへんうちやけど、みろく殿の檜の香り、木の花庵の茅葺き屋根、金竜海に映る紅葉、そのどれもが本宮町いう土地に積み重なった時間の分厚さを物語っとりました。歴史的建造物として、庭園として、ただただ静かに美しい場所どしたえ。
帰り道、綾部の宿でちびりとYUTAKAをいただきましたんえ。冷やしすぎんと十二度くらいに整えて、ガラスの盃にそっと注いだら、金竜海の水面みたいに澄んだ色が揺れますんどす。ひと口含んだら、木の花庵の囲炉裏で燻されたような柔らこい香りがふわっと鼻に抜けて、長生殿の木の香りを思い出すような、落ち着いた余韻が舌の上に残りましたんえ。
ほな、また次回のお楽しみに。
これからもどうぞよろしくお願いします。
FAQ
Q. 大本本部は誰でも見学できますんか?
A. 境内は拝観自由・無料で、信仰の有無にかかわらずどなたでも見学できますんえ。ただし神殿内部の拝観や木の花庵の内部見学には事前予約が必要どす。行事等で拝観できひん日もあるそうどすさかい、お出かけ前に公式サイトで最新の情報をご確認くださいませ。
Q. 出口なおはんてどんな人どすか?
A. 出口なおはんは天保七年(一八三六年)生まれ、綾部の出口家に嫁がはった女性どす。明治二十五年(一八九二年)に身に起こった出来事を機に、綾部を拠点に教団が興っていきました。大正七年(一九一八年)に亡くなるまで、教団の礎を築かはった方として史実に残ってはります。
Q. 木の花庵は見学できますんか?
A. 木の花庵は十七世紀半ばに建てられた茅葺きの古民家で、昭和四十六年に移築され翌年に国の重要文化財に指定されましたんえ。外観は自由に眺められますが、内部の見学には事前予約が必要どす。五日に一度は火が入れられ、今も大切に維持管理されとります。
Q. 大本本部へのアクセスはどないどすか?
A. JR綾部駅からあやバス「志賀南北線」に乗って「大本本部前」で下車するとすぐどす。駅からの距離は約1.2kmで、お天気の良い日ならのんびり歩いてお参りするのもよろしおすえ。バスの時刻は変わることもあるさかい、事前に最新の時刻表をご確認ください。
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