海の京都物語 第399話 伊根浦に眠る鯨帳、海の恵み受け継ぐ浦の記憶どす|日本酒YUTAKA(豊)

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 海の京都物語も三百九十九話を数えますけど、今回の舞台はやっぱり伊根町どす。舟屋の町として名高いこの浦には、もうひとつ、あんまり知られてへん海の記憶が眠ってますんや。

 それは「鯨(くじら)」の記憶どす。伊根湾いうたら今は舟屋とブリの町やけど、かつてはこの穏やかな入り江で、村総出の捕鯨が行われてたんどす。

🐋 鯨永代帳が語る二百七十一年 伊根浦の捕鯨は、天文年間(一五三二〜一五五五年頃)に始まったと伝わります。最初は亀島村と平田村が漁の権利を分け合うてましたんやけど、明暦二年(一六五六年)からは亀島村が独占することになったんどす。この年から書き継がれた帳面が「鯨永代帳」で、なんと昭和二年(一九二七年)まで、二百七十一年にわたって記録され続けてましたんえ。一冊の帳面に何代もの浦の暮らしが刻まれてるやなんて、ちょっと鳥肌もんどすな。

🌊 青島を囲む、村総出の漁 捕鯨は亀島村だけやのうて、浦の村総出の大仕事やったそうどす。青島を中心に網を張って湾口をふさぎ、鯨を耳鼻(みみはな)の谷や黒地、大浦の入江へと追い込んでいったと伝わります。獲れた鯨は日出・高梨・平田など四つの地区で入札にかけられ、浦全体の恵みとして分けられたんどすて。今は観光船がのんびり周遊するあの湾に、かつてはそないなダイナミックな漁があったんやと思うと、見える景色がちょっと変わってきますなぁ。

📜 日吉神社の棟札に残る村の名 伊根浦にいつから人が住みはったんかは、はっきりとはわからしまへん。ただ、宮津市岩ヶ鼻の日吉神社に伝わる棟札には、天文十八年(一五四九年)のものに早くも日出・高梨・平田の三村の名が記されてるそうどす。この棟札は七枚伝わっており、天正六年(一五八七年)、元和八年(一六二二年)のものまで含めると、三村が少なくとも十六世紀半ばには成り立ってたことがうかがえますんや。代官や奉行人、大工の名に混じって浦の有力者の名も刻まれてるんは、村の誇りやったんかもしれまへんな。

🚤 今も残る日出の渚から その日出の浜には今、伊根湾めぐり遊覧船の乗り場があって、約二十五分かけて青島のまわりをぐるりと巡ることができますんや(運賃や時刻は要確認どすが、年中おおむね九時から十六時頃まで運航してるそうどす)。甲板でカモメに餌をやりながら湾を眺めてたら、ここがかつて鯨を追い込んだ海やったやなんて、ちょっと想像しにくいくらい凪いだ水面どす。舟屋の屋根が夕陽に染まる頃、波音だけが昔も今も変わらんのやろなぁと、しみじみ思いますんえ。

📍行っ得メモ

・伊根湾めぐり遊覧船(日出桟橋発)は所要約25分、運賃は大人千円前後(要確認)
・運航時間は年中おおむね9:00〜16:00頃(要確認、丹後海陸交通運航)
・「鯨永代帳」の詳しい伝承は伊根町教育委員会の調査報告書に記録されており、現地での展示状況は要確認どす

 今は静かな舟屋の浦として名高い伊根やけど、その水面の下には二百七十一年分の鯨と人の記憶が沈んでますんやなぁ。海の恵みをまるごと分け合うてきた浦の心意気、なんや今の時代にこそ見習いたいもんどすわ。

 そないな浦の記憶に想いを馳せながら、純米大吟醸YUTAKA(豊)は冷や、十度ほどのやや低めの温度でガラスの盃にそっと注いでもらいたいどす。すっきりとした吟醸香の奥に、ほんのり米の旨みが広がる味わいは、伊根のぶりの昆布締めやへしこのような、海の恵みをじっくり仕込んだ肴とよう合いますんや。何百年も続いた浦の暮らしに敬意を表するみたいに、ゆっくり味わいとうなる一献どす。

ほな、また次回のお楽しみに。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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FAQ
Q. 「鯨永代帳」てどんな記録どすか?
A. 伊根浦で明暦二年(一六五六年)から昭和二年(一九二七年)まで、二百七十一年にわたって書き継がれた捕鯨の記録帳どす。亀島村が担うてきた鯨漁の記録として、伊根町教育委員会の調査報告書に紹介されてますんや。

Q. 伊根で捕鯨してたんはいつ頃どす?
A. 伝承によると、天文年間(一五三二〜一五五五年頃)に始まったとされてます。最初は亀島村と平田村が権利を分け合い、明暦二年(一六五六年)以降は亀島村が独占するようになったと伝わってますんや。

Q. 捕鯨はどんな場所で行われてたんどす?
A. 青島を中心に網を張って伊根湾の湾口をふさぎ、鯨を耳鼻の谷や黒地、大浦の入江へ追い込む漁法やったと伝わります。捕れた鯨は日出・高梨・平田など浦の地区で入札にかけられ、浦全体で分け合う恵みやったそうどす。

Q. YUTAKA(豊)はどの温度がええどすか?
A. 冷や、十度前後のやや低めの温度がおすすめどす。ガラスの盃でキリッと冷やしていただくと、伊根のぶりの昆布締めやへしこのような海の幸の旨みと、すっきりした吟醸香がほんまによう調和しますんや。

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