海の京都物語 第498話 丹後半島の先っぽ、経ヶ岬のたもと蒲入はんでは、よそもんも漁師にしてくれはる浜の人情に教わったんどすえ|日本酒YUTAKA(豊)
海の京都物語も気がつけば第498話どす。舟屋の町並み、徐福はんや浦嶋はんの伝説、伊根祭の太刀振り……伊根町のあちこちをこれまで旅してきましたなぁ。
せやけど今日は、観光客はんがあんまり足を向けはらへん町のはずれ、経ヶ岬に向かう道すがらにある蒲入(かまにゅう)という浜へお連れしますえ。舟屋とはまた違う、素朴な漁師町の顔を覗いてみまひょ。
🌊 経ヶ岬のたもとに抱かれた小さな浜
蒲入は伊根町の中でも京都府の最北、経ヶ岬にほど近い場所にある集落どす。ある記録によりますと、かつては66世帯122名ほどが暮らし、そのうち63名が漁協の組合員やったそうどす。ほとんどの家が、何かしら漁業と関わりを持って生きてきはったんどすなぁ。
町には病院も大きな店もあらしまへんよって、通院や買い物で40キロほど離れた宮津の町まで出はる人もいたそうどす。それでも窓を開ければ漁港が見える、海とぴったり寄り添うた暮らしが、ここにはあったんどすえ。
🎣 定置網と水視漁、蒲入の海の恵み
蒲入の漁は一通りやあらしまへん。漁協の自営事業として大型定置網が二統、イカ釣りや一本釣り、延縄に出る人も二十数名、そしてアワビやサザエ、ワカメを素潜りで採る水視漁業にいそしむ人も二十名ほどいたそうどす。地区には本庄漁港という第二種漁港もあって、あじ類やぶり、いわしが水揚げされてきましたんや。
かつてはもっと大きな船で大中型巻き網漁業を営み、よその地区から人を雇うて働いてもろてた時代もあったそうどす。せやさかい、外から来た人を分け隔てのう迎え入れる気風が、今も蒲入には残ってるんやそうどすえ。
🚐 峠を越える道、蒲入トンネルの物語
蒲入へ続く国道178号には、かつて幅の狭い、線形の悪い峠道があったそうどす。そこを越えて路線バスも走らなあかんし、ひとたび異常気象ともなれば集落がぽつんと孤立してしまう心配もあったとか。そこで事業延長2,240メートルにおよぶ蒲入バイパス・蒲入トンネルの整備が進められましたんや。
今は峠を越えんでも、宮津側からすーっとトンネルを抜けて蒲入へたどり着けますんどす。窓の外に広がる日本海と、トンネルを抜けた途端にふわっと潮の香りが車内に入ってくる、あの瞬間がたまらしまへんなぁ。
👨🌾 よそもんを漁師にしてくれはる浜の人情
蒲入漁業協同組合に残る記録には、よそから移り住んだご夫婦が綴らはった体験記があるそうどす。夏場の定置網は朝4時半集合というせわしさどすけど、漁から帰って食べる朝ごはんは格別で、都会では落ちてた食欲がすっかり戻ってきたと書かれてましたんや。
祭りや運動会、駅伝にも声をかけてもろて、漁協婦人部の加工場では売上五千万円を目指して励んではる姿もあったとか。言葉はきつうても本音は優しい、そないな浜の人たちの気性が、よそもんをほんまの漁師にしてくれはるんどすなぁ。
📍行っ得メモ
・蒲入へは国道178号「蒲入バイパス・蒲入トンネル」を経て、経ヶ岬方面へ向かう道中にある浜どす
・丹海バス「蒲入線」が上宮津と経ヶ岬の間を結んでおり、蒲入でも乗り降りできます
・蒲入の本庄漁港そばには蒲入水産による食事処もありますが、営業日・時間は季節や年により変わるため事前確認がおすすめどす
・経ヶ岬灯台へも蒲入からほど近く、あわせて訪ねるのもよろしおすえ
舟屋の町並みばかりが伊根やない、こないな浜の暮らしもまた、海の京都の大事な景色どす。初めて来やはった人には地味に見えるかもしれんけど、ここには何百年と続いてきた、海と共に生きる人らの矜持がちゃんと息づいてますんどすえ。
そないな蒲入の浜を思い浮かべながら、純米大吟醸YUTAKAをきりっと冷やして、ぐい呑みでいただくのはいかがどっしゃろ。定置網で揚がったばかりの魚の脂と、お酒のすっきりとした吟醸香が口の中でひとつになって、潮風に吹かれながら呑む一杯のような、すがすがしい余韻が残りますんえ。
ほな、また次回のお楽しみに。
これからもどうぞよろしくお願いします。
FAQ
Q. 蒲入(かまにゅう)ってどんな漁村どすか?
A. 蒲入は京都府伊根町の中でも最北、経ヶ岬にほど近い漁村どす。かつての記録では66世帯122名ほどが暮らし、ほとんどの家が漁業と関わって生きてきはったという、海とともに歩んできた集落どすえ。
Q. 蒲入ではどんな漁をしてはるんどすか?
A. 大型定置網が二統、イカ釣りや一本釣り、延縄に出る人、さらにアワビやサザエ、ワカメを素潜りで採る水視漁業にいそしむ人もいてはります。地区の本庄漁港にはあじ類やぶり、いわしが水揚げされてきましたんどすえ。
Q. 蒲入へはどうやって行けばよろしいどすか?
A. 国道178号の蒲入バイパス・蒲入トンネルを経て、経ヶ岬方面へ向かう道すがらにある浜どす。丹海バスの蒲入線も上宮津と経ヶ岬の間を走っておりますので、バスでも訪ねることができますんどすえ。
Q. YUTAKAはどんな場面で楽しんだらよろしおすか?
A. 潮の香りが漂うような漁村の景色を思い浮かべながら、きりっと冷やしてぐい呑みでいただくのがおすすめどす。脂ののった地魚と合わせると、純米大吟醸らしいすっきりとした吟醸香が、料理の旨みをふわっと引き立ててくれますんえ。
京都 丹後