海の京都物語 第308話 伊根湾の入り口にそっと浮かぶ青島はんは神の宿る聖なる森どすえ、鯨を追うた昔も牡蠣を育てる今も変わらず海を守っとります|日本酒YUTAKA(豊)
海の京都物語も第308話を数えますんやで。これまで伊根の舟屋はんや向井酒造はんの伊根満開、浦嶋さんや徐福さんの伝説、伊根祭のこばりあいなど、伊根町のあちこちを巡らせてもろてきました。
せやけど今日は、ちょっと目線を変えて、伊根湾の入り口にぽつんと浮かぶ無人島「青島」はんにスポットを当ててみとうおもいます。舟屋の美しい景色の、その陰でずっと海を守ってきた島どす。
🌲 魚付林に守られた聖なる島
青島は伊根湾の湾口に浮かぶ無人島で、常緑樹が生い茂り、古くから「魚付林(うおつきばやし)」として大切に守られてきましたんや。魚が集う豊かな海を育むこの森は、漁師はんらにとって暮らしの土台そのものどした。
島には社寺が建てられ、かつては墓所もあったと伝えられ、漁民にとって特別な「聖なる島」として敬われてきたそうどす。鬱蒼とした緑を湛えたその姿は、遠くから眺めるだけでも、どこか神々しい気配が漂うてますんえ。
🌊 天然の防波堤が育んだ舟屋の暮らし
青島は伊根湾の湾口にあって、天然の防波堤としての役割も果たしてきましたんや。外海の荒波をこの島が受け止めてくれるさかい、湾の中はいつも穏やかで、船を軒先に浮かべて暮らす独特の漁村文化が育まれてきたといわれとります。
静かな海面に浮かぶ青島を背に、漁船がゆっくりと行き交う風景は、何百年も変わらん伊根の日常どす。波音さえも優しゅう聞こえてくる、そんな不思議な穏やかさがこの島のまわりにはありますんえ。
🐋 鯨を追い込んだ江戸時代の記憶
伊根浦の捕鯨は、言い伝えでは戦国時代の天文年間(1532〜1555年)に始まったとされとります。当初は亀島村と平田村の両方に漁業権がありましたんやけど、明暦2年(1656年)以降は亀島村が独占するようになり、その記録は「鯨永代帳」に今も残っとるそうどす。
鯨漁の際には耳鼻の谷や亀山のあたりに網を張って湾口をふさぎ、青島を中心にして鯨を逃がさんようにし、大浦の入江へと追い込んでいったと伝わっとります。村総出で鯨と向き合うた、そんな命がけの歴史が、この静かな島のまわりに刻まれとるんどすなあ。
🦪 岩ガキを育てる今の青島
時代は移って、今の青島は岩ガキ養殖の海としても知られとります。青島の沖合ではロープ垂下式の養殖試験が行われ、伊根湾内は栗田湾に次ぐ良好な育ち具合を見せたと京都府の調査で確かめられとるんどす。
鯨を追い込んだ荒々しい歴史から、今は牡蠣をじっくり育てる穏やかな海へ。青島は姿を変えんまま、伊根の暮らしをずっと見守り続けてきたんやなあと、しみじみ思わされますんえ。
📍行っ得メモ
・青島は無人島のため上陸はできず、沿岸から眺めるスポットどす
・京都丹後鉄道「天橋立駅」から丹後海陸交通バスで約55分〜1時間、「伊根」バス停下車どす
・運賃の目安は400円程度、車なら京都縦貫自動車道「与謝天橋立IC」から約30分どす
舟屋の景色に見惚れてしもて、つい見落としがちな青島どすけど、魚付林として、天然の防波堤として、捕鯨の要として、そして今は養殖の海として、ずっと伊根の暮らしを静かに支えてきた懐の深い島どした。
そんな青島を眺めながら、ひんやり冷やしたYUTAKA(豊)を、ガラスの切子グラスでいっぱい傾けてみとうなります。すっと喉を通る涼やかな吟醸香と、米の旨みがふわりと広がる優しい甘みは、岩ガキのぷりっとした身にも、鯨の歴史に思いを馳せる静かなひとときにも、すっと寄り添うてくれますんやで。
ほな、また次回のお楽しみに。
これからもどうぞよろしくお願いします。
FAQ
Q. 青島に上陸することはできますか?
A. 青島は無人島のため、一般の方が上陸することはできません。伊根湾沿いの道や船上など、沿岸から静かにその姿を眺めるのが基本の楽しみ方どす。常緑の魚付林に覆われた島影は、遠くから眺めるだけでも神々しい気配が伝わってきますえ。
Q. 伊根の捕鯨はいつ頃の話どすか?
A. 言い伝えによると、戦国時代の天文年間(1532〜1555年)に始まったとされとります。当初は亀島村と平田村の両方に漁業権がありましたんやけど、明暦2年(1656年)以降は亀島村が独占するようになり、その様子は「鯨永代帳」という記録に残されとるそうどす。
Q. 青島の牡蠣は今も食べられますか?
A. 青島沖では岩ガキの養殖試験が行われ、伊根湾内は良好な育ち具合が確かめられとります。地元の海でじっくり育った岩ガキは伊根ならではの恵みのひとつ。訪れた折には旬の時季に合わせて味わえるお店を探してみるのもええ楽しみどすえ。
Q. YUTAKAはどんな温度で飲むのがよろしいどすか?
A. よう冷やした状態で、すっきりと涼やかな吟醸香を楽しんでいただくのがおすすめどす。青島を眺めながらの一杯なら、切子グラスでひんやり冷やして、海風にあたりながらゆったり味わうのが格別どすえ。岩ガキなど海の幸と合わせても相性がようございますんや。
京都 丹後